そうした中で、
「高熱が出たから、しっかり身体が反応している。免疫がついた!」
という声や
「ほとんど副反応が出なかったけれども、本当に免疫がついているのかな?」
という疑問をよく耳にします。
このコラムでは、コロナワクチンの副反応と効果の関連について解説します。
*本コラムは2021年8月14日現在の情報に基づいています(査読前論文の内容も含まれており、今後知見が訂正される可能性があります)
1. 副反応の出現頻度
まずはコロナワクチンを打った時に、どのような副反応がどれくらいの頻度で出るのか確認しておきます。ワクチン接種後に出やすい副反応は以下の通りです。
【コロナワクチン接種後の主な副反応】
- 接種部位反応(ワクチンを打ったところが赤くなる、腫れる、痛む、など)
- 発熱
- 頭痛
- だるさ
ファイザー社製やモデルナ社製のmRNAワクチンと呼ばれるタイプでは、2回目の接種後にこうした副反応が特に出やすいと分かっています。また、接種翌日に最も強く症状が出ることが多く、若い人や女性で出やすい傾向にあります[1]。
腕の軽い痛みは8割以上の人に出ますし、頭痛や37.5℃以上の発熱も若い世代では半分近くの人に出ます。このように、それなりの頻度で明らかな副反応が出るため、若い世代では副反応を自覚する人が多数派といえます。
2. 副反応と効果の関係
副反応が出ている人が周りに多くいると、自分が接種して副反応がほとんど出なかった場合「ラッキー」と感じる人もいれば、ワクチンの効果を疑う人もいると思います。
しかし、心配には及びません。ワクチンの効果と副反応の程度はあまり関係なさそうなことが報告されています。
日本人での研究
熊本総合病院の医療従事者225人に対して、ファイザー社製ワクチンを接種した研究結果をまず紹介します[2]。
この研究では、発熱や腕の痛みの程度と、ワクチンでついた抗体の関係性について調べています。その結果、発熱や痛みの程度と、2回目の接種後1週間時点での抗体価にはほとんど関係が見られませんでした。
米国での研究
アメリカからも同様の報告が挙がっています。トランプ前大統領も入院していたワシントンDCの「ウォルター・リード米軍医療センター」からの報告を紹介します[3]。
この研究でも206人の医療従事者を対象に、ワクチン接種後の症状の強さと抗体価の関係を調べました。しかし、やはり症状の強さと、2回目の接種後1ヶ月時点での抗体価の関係性は見られませんでした。
ちなみにこの研究では「1回目のワクチンで症状が強く出た人は、2回目も強く出やすい」という傾向も示されています。したがって、1回目に副反応で苦労した人は、2回目の接種にあたって解熱鎮痛薬を準備しておくとよさそうです。解熱鎮痛薬の使用について疑問がある人はこちらのコラムを、体験談を読んでみたい人はこちらのコラムも参考にしてみてください。
3. まとめ
ここまで、ワクチンの副反応と効果の関係について解説しました。
実はコロナウイルスに感染した人では、発熱などの症状が強いほうが抗体価が高くなるという報告があります[4]。しかし、ワクチンに限っては効果と副反応の強さはあまり関係ないだろう、という意見が以前からありました。これは、副反応が出ている時に主に働くのは自然免疫と呼ばれる反応で、抗体を作るには獲得免疫と呼ばれる別のメカニズムが働いているからだ、と考えられます。
このコラムを読んで、「副反応が出ない!」とかえって不安に思う人が少しでも減れば幸いです。
執筆者
1. 新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査(厚生労働省)2021.8.14閲覧
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。