2021.05.25 | コラム

2回目の副反応がちょっと辛かった… 新型コロナワクチン体験記ー内科医の場合

倦怠感、肩の痛み、発熱があったものの数日で回復しました
2回目の副反応がちょっと辛かった… 新型コロナワクチン体験記ー内科医の場合の写真
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日本ではコロナワクチン普及率が低いとはいえ、だんだんと接種数が増えており、先月からは高齢者の接種が、7月からは一般に分類される成人への接種が始まります。ワクチンを受けるにあたって不安の声を耳にすることもあり、聞いていると気持ちはわかるものばかりであると気づきます。しかし、ワクチンによって得られるものは決して小さくないため、基本的にはコロナワクチンは接種するべきと考えます。そのため私が経験した接種の実際の様子や接種後の副反応についてご紹介したいと思います。あくまで一個人の体験談にはなりますが、ワクチン接種のイメージが少しでもわけば幸いです。

私の勤務している病院は新型コロナウイルス患者さんの診療を行っている大学病院です。病院職員は「病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員」に該当することから早期接種の対象となりました。2月上旬からワクチン接種の希望調査が行われ、希望する職員に対して3月上旬から接種が開始されました。ワクチンはファイザー社製のもので、3週間間隔で計2回の投与を行います。なお私は3月下旬に1回目、4月中旬に2回目の接種を終えました。

 

ワクチン接種の様子

3月のとある土曜日、午前11時の予約に間に合うように病院に向かいました。ワクチン接種会場となる会議室に到着すると、会議室の外の廊下にはイスが並べられており、すでにワクチン接種を終えた人たちが副反応チェックのための経過観察を行っていました。

医療に慣れているはずの医師ですが少し緊張を覚えつつ接種会場に入ると、氏名や予約を確認したうえで問診票を渡されます。問診票の質問内容は通常のワクチン(インフルエンザなど)の問診票と似ており、持病の有無や薬や食べ物に対するアレルギーの有無などについてチェックを入れていきます(こちらのコラムを参照)。最後に接種希望にチェックを入れて署名をし、医師の診察に進みました。

医師の診察では問診票の記載内容をもとに、アレルギーの有無などについて再度確認が行われます。

診察が終わるといよいよワクチン接種です。私は利き腕と反対の左腕の肩に接種してもらいました。新型コロナウイルスワクチンは筋肉注射で接種されます。27ゲージというとても細い針を使っていましたが、針を刺す痛みも薬液を注入する痛みもほとんどなく、あっという間に接種は終了しました。私の担当の先生が上手だったのかもしれませんが、接種を受けた他の人もおおむね同じ感想でしたので、イメージしているよりも痛くなかったと感じる人が多いのだと思います。その後15分間の経過観察を行いましたが特に何事もなく、無事帰宅することができました。

 

ワクチン接種1回目の副反応ー接種部位の痛みとだるさ

ワクチン接種から1時間ほど経過したころ、注射した左肩が重い感じがし始めました。その後徐々に肩の痛みを感じるようになり、肩を上げたり何かにぶつかったりしたときに痛みを感じるようになりました。ただし痛み止めを飲むほどの痛みではなかったです。その日の夜は「左肩を下にして寝ると痛いな」、と感じましたが、翌日には痛みは引いていきました。

熱が出ることはなく、翌日いっぱいはなんとなく身体のだるさを感じましたが、2日後の月曜日には全く問題なく勤務できました。

 

筆者の妻は発熱・倦怠感の副反応あり

ちなみに私の妻も同じ日にワクチンを接種したのですが、彼女は接種部位の痛みが強く、接種翌日には37℃台後半の発熱があり、倦怠感が強く解熱薬を内服して寝込んでいました。接種2日後には体調はおおむね回復していましたが、副反応の出方には個人差があることを実感しました。

 

厚生労働省の資料によると、1回目の接種後に接種部位の痛みが起こるのは約90%、だるさ(倦怠感)を感じるのは約20%、37.5℃以上の発熱は約3%、と報告されています。「若年者、女性では副反応が起こる割合が高い」とされていますので、該当する人はあらかじめ解熱鎮痛薬を準備しておくと安心して接種を受けることができるかもしれません

 

ワクチン接種2回目の副反応ー接種部位の痛み、微熱、倦怠感

3週間後の4月中旬に2回目のワクチン接種がありました。すでに私の周りには2回目の接種を終えた医療従事者が多く、高熱が出た人や倦怠感がひどかった人の噂を聞いていたため、少々身構えて接種に臨みました。

接種そのものは1回目と同様の流れでスムーズに終わり、アナフィラキシーなどの重大な副反応はなく帰宅しました。

1回目と同様、接種数時間後から注射部位の痛みが始まり、翌日いっぱいは続きました。幸いにして高熱が出ることはなかったですが、体温が36℃台後半になって少し寒気を感じる時間帯がありました。また、倦怠感は1回目よりもやや強かった印象ですが寝込んでしまうほどではありませんでした。肩の痛みと微熱に対して2回ほどアセトアミノフェン(カロナール®)を内服しましたが、2日後には体調は元に戻っていました。

 

筆者の妻は発熱・倦怠感・リンパ節の腫れなどのつらい副反応を経験

一方で私の妻は、2回目の接種後も38℃を超える発熱と倦怠感におそわれ、アセトアミノフェンを1日3回内服してぐったりしていました。また、ワクチン接種した左側の腋窩リンパ節(わきの下のリンパ節)や首のリンパ節が腫れ、頭痛も訴えていました。接種日が土曜日、翌日が日曜日だったため勤務への支障はありませんでしたが、3日目の月曜日にも倦怠感が残っていると話していました。

周りの医療従事者の話を聞いてみると、私と同じように軽い症状で済んだ人もいれば妻のように高熱を出してつらい思いをした人もいたようで、副反応にはかなり個人差がある印象でした。

 

ちなみに厚生労働省の資料では、2回目の接種後の副反応として37.5℃以上の発熱を38%の人に、頭痛を約50%に、だるさ(倦怠感)を約70%に認めたとされています。

ほとんどが一時的なものであるとはいえ、従来行われていたインフルエンザ予防のワクチンに比べて副反応が起こる確率が高いことは間違いないでしょう。

 

まとめ

このコラムでは筆者自身の新型コロナウイルスワクチン接種の体験談についてざっくばらんに書かせていただきました。新型コロナウイルスワクチンは副反応が出やすいワクチンと考えられますが、その内容や頻度について事前に知っておくことで、副反応に対して過度に心配することなくワクチン接種に臨めるのではないかと思います。あくまで個人の経験ではありますが、これからワクチンを打つ人の参考になれば幸いです。

 

参考文献

・厚生労働省:厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)

・Polack FP, et al. Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine. N Engl J Med. 2020 Dec 31;383(27):2603-2615.

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。