さらに大きな第5波はくるのか? コロナワクチンへの期待と今私たちができること | MEDLEYニュース
2021.05.11 | コラム

さらに大きな第5波はくるのか? コロナワクチンへの期待と今私たちができること

感染症内科医が伝えたいこと
さらに大きな第5波はくるのか? コロナワクチンへの期待と今私たちができることの写真
(c)Romolo Tavani-stock.adobe.com

2021年2月17日から、医療従事者を対象に、ファイザー・ビオンテック社が開発したワクチンの先行接種・優先接種が行われ、4月12日からは65歳以上の高齢者を対象とした優先接種が始まりました[1]。
ワクチンの新型コロナウイルス感染症の発症に対する有効性は約95%と非常に高く、重症化予防に対しても約90%の有効性が示されています[2,3]。さらに、最近の研究結果から[4]、ワクチンが感染リスク自体を低減させることが分かってきたので、集団免疫が期待でき、今後の新型コロナウイルス感染症拡大の流れを大きく変える「ゲームチェンジャー」になる可能性が高まっています。

しかしながら、医療従事者でもワクチンを2回接種できたのは対象となる約480万人のうち[5]、4月末までで20%にとどまります。

普段、新型コロナの患者さんを診療する機会のある私もまだ1回目の接種を受けたばかりです。新型コロナワクチンの接種状況は、米欧諸国で接種が進んでいるものの(5月8日の時点で100人あたりの接種回数はイスラエルで121.2)、日本はまだまだです(5月7日の時点で100人あたりの接種回数は3.3)。

ワクチンには今後大きな期待が寄せられますが、大阪および東京を中心とした第4波の感染拡大の抑制には期待できません。そのため、当分の間は今までと変わらず最大限の基本的感染対策の継続が必要となります。

 

1. 同居家族以外と食事をしない、マスクなしでの会話をしない、は最低限の感染対策

新型コロナウイルスの感染拡大に対して、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの政策がありますが、結局のところは受け取り手次第です。個人レベルでは粛々とマスク着用手洗い3密回避に注意した生活を続けることが大切です。

また、いつものやつか…と思われるかもしれませんが、私個人の経験からも、ほとんどの患者さんが「同居家族以外との食事」「マスクなしでの会話」で感染してしまっています。手洗いはもちろん大切なのですが、モノからの接触感染は飛沫による感染の10,000分の1程度しかないという報告があり[6]、コロナ対策として最低限抑えておくものは「食事をするのは同居家族のみ」と、「会話時には必ずマスクを着用する」の2つを心がけることといえます。

実際に新型コロナウイルス感染患者を診ている友人の臨床感染症科医のほとんどが、こういった基本的感染対策を続けており、新型コロナウイルスに感染していません。

 

2. 医療情報のとりいれ方

テレビや雑誌、ソーシャルメディアなどで、しばしば「絶対にコロナに感染しない方法」や「マスクは不要」といったセンセーショナルな話題をみかけます。新型コロナウイルスに限ったことではありませんが、医療情報は玉石混淆の状態にあり、非専門家にとって情報の取捨選択は難しいと思います。コロナ疲れでストレスが溜まっていることと思いますが、自分の専門領域以外の情報を集めるときには、まずは学会や公的機関の医療情報を中心に参照するようにしてください。情報社会においては、自分に都合の良い情報を答えと思い込みがちなので、注意が必要です。

 

3. それでも、ワクチン接種を前向きに考えてください

「同居家族以外との食事」と「マスクなしでの会話」を控えるだけでも、最低限の感染対策となるとお話しましたが、あと一つ挙げるとするとやはりワクチンです。

緊急事態宣言などの積極的介入(ハンマー)で流行のピークを叩いて新規患者数を抑え込み、持続的介入(経済の回復と感染拡大防止のバランスをとる)によって流行を防ぐという考えをハンマー&ダンスと言います。日本の新型コロナウイルス感染症対策は、今後もしばらくはハンマー&ダンスの繰り返しとなると思います。しかし、波を繰り返すうちにピークが下がるだろうという当初の予想が外れ、第4波のここにきて、今まで以上に高い波が来ています。このままではさらに巨大な波がくる可能性が見えてきた今、一刻も早いワクチンの普及に期待がかかるというわけです。

 

実際コロナワクチンを打ってみてどうだったか

変異の種類によって、ワクチンの有効性が低下する懸念があります。しかし、その懸念があるとされているB.1.351という変異株が流行している南アフリカにおいても、ファイザー・ビオンテック社のワクチンは100%の予防効果を発揮しています[7]。 

ワクチンの副反応については、心配されますが、これまでに認められている副反応は接種部位の腫れや痛み、頭痛、悪寒、発熱などで、ほとんどが2・3日で自然に改善します[2]。接種をためらうような重大な副反応はいまのところありません

私自身も1回目の接種翌日は肩の痛みがありましたが、接種の翌々日には痛みは消失していました。なお、100万回投与で4.7例とまれな頻度でアナフィラキシーが発生し[9]、日本においては海外の報告よりも頻度が高いようですが、適切に対応され軽快しています。

 

副反応と有害事象の違いとは

コロナワクチン接種後に死亡したというニュースが報道されています。しかし、今のところすべての症例で因果関係は証明されていません。こういったニュースでワクチンが危険だと判断するのは間違いで、ここにも医療情報のリテラシーの問題が存在します。

ワクチンの情報に触れる時に頭に入れておいて欲しいのが、有害事象と副反応の違いです。ワクチン接種後には、有害事象副反応が起きる可能性があります。副反応というのは、ワクチン接種に伴う反応のうち、本来の目的である「免疫をつける」ということ以外の反応を言います。一方で、有害事象とは因果関係の有無を問わずワクチン接種後に生じたあらゆる好ましくない出来事を言います。例えば、予防接種後の帰り道に交通事故にあった場合であっても有害事象となります。予防接種後に接種部位が腫れた場合は、有害事象でもあり副反応でもあるということとなります。

 

4. おわりに

残念ながら、新型コロナウイルスに対して画期的な感染対策は存在しませんので、甘い言葉には要注意です。個々人が基本的な感染対策を継続し、ワクチンが普及することでやっと日常が戻るのであろうと思います。その日まで粛々と当たり前のことを当たり前に続けましょう。

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。