2019.07.09 | コラム

痛みで歩けなくなる前に、「大人の扁平足」を治す方法とは?

足裏の負担軽減と、足指の筋力アップがポイントです
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(c)Staras-iStock

扁平足(へんぺいそく)とは、土踏まずがなくなり、足裏が平べったくなった状態のことです。子どもの頃は扁平足ではなかった人も、加齢や肥満、長時間の立ち仕事などが原因で、中年以降に扁平足になることがあります。

こちらのコラム(足の痛みや腫れの原因になる「大人の扁平足」とはどんな病気?)では、大人の扁平足によって引き起こされる症状や、大人になって新たに扁平足が起こるメカニズムについて、詳しく説明しました。

今回は、大人の扁平足による困った症状に対してどのような治療法があるのかを解説します。

 

1. 扁平足による足の痛みに困ったら、どんな治療法があるのか

大人の扁平足になると足に痛みが生じます。足の痛みが強くなると歩きにくくなって日常生活でも非常に不便を強いられます。そこで扁平足による足の症状を和らげるために、以下に挙げる5つの治療法があります。

 

  • 薬による治療
  • ギプス固定による治療
  • 足底装具による治療
  • リハビリによる治療(運動やストレッチなど)
  • 手術による治療

 

症状の強さや、足の状態によってどの方法が取られるかは変わってきますが、まずは手術以外の4つの治療法で様子を見ていくことが多いです。適した治療法をすすめるためにはお医者さんの診察や検査を受けることが大事なので、足の痛みで困っている人は、まずは医療機関を受診するようにしてください。

 

では、それぞれの治療法について詳しく説明します。

 

2. 薬を使って痛みを和らげる

扁平足を根本的に改善する治療ではありませんが、まず薬を使って痛みを和らげる方法があります。

よく使われる痛み止めは、アセトアミノフェンNSAIDsの成分が含まれた鎮痛薬(ボルタレン®️ロキソニン®️など)です。口から飲む(内服する)方法と、痛む場所に直接貼ったり塗ったりする方法があります。医療機関を受診すると、患者さんに合わせてこれらの鎮痛薬が処方されます。また、市販薬としても同様の成分が含まれる鎮痛薬が薬局に並んでいます。受診までのつなぎとして、一時的にこれらの市販薬を用いて悩ましい症状を和らげるのは1つの方法です。

 

3. ギプスで固定して足を休ませる

急激に症状が現れ足の痛みや腫れが強い人は、足を休ませるためにギプスで足を固定することがあります。

大人の扁平足の多くは、肥満や長時間の立ち仕事などで足に大きな負担がかかって起こります。(詳しくは前回のコラムを参照してください。)そこで、足をギプスで固定することで、立つ時や歩く時にできるだけ足裏に負荷がかからないようにして足の負担を和らげます。

しかし、ギプスでの固定も根本的な治療ではなく一時しのぎとして行われる方法です。ギプス固定で足の強い痛みや腫れが軽くなったあとは、次に紹介する足底装具を作成し、リハビリを行うことがすすめられます。

 

4. 足底装具で土踏まずを支える

足底装具で土踏まずを支えて、扁平足による痛みを和らげる治療法です。

足底装具とはいわゆる靴の中敷のことで、土踏まずの部分にアーチサポートというクッションがついています。土踏まずの部分をクッションが支えることによって、足裏にかかる負荷をうまく分散させることができます。

扁平足の患者さんの多くは足をかばいながら歩くために姿勢が歪み、膝や腰にも痛みが生じがちです。足底装具で足裏の形が矯正されると自然と歩く姿勢が改善されて、膝や腰の痛みも軽減できることがあります。

主に整形外科のある医療機関で、専門のスタッフ(義肢装具士など)が患者さんに合った足底装具を作ってくれます。装具の費用には保険が適用されますので、気になる人は医療機関に問い合わせてみてください。

 

5. リハビリによって扁平足を改善する

足の痛みや腫れが比較的軽く済んでいる人や、ある程度症状が落ち着いた人は、リハビリに取り組むことが大切です。リハビリを続けると扁平足が改善し、痛みや疲れやすさが現われにくくなります。

実際に医療機関では、以下のようなリハビリがすすめられています。

 

  • 足指の筋肉トレーニングを行う
  • アキレス腱のストレッチを行う

 

それぞれの対策について、以下で具体的に説明しています。自宅で簡単にできるものもありますので、是非取り入れてみてください。

 

足指の筋肉トレーニングを行う

足の側面の形を内側から見てみると、通常は上に向かってドーム型のアーチを描いている(土踏まずの部分)ことがわかります。このドーム型の構造は、「足の縦アーチ」と呼ばれ、弓のようなしなりをもつことで体重を効率よく支えています。

扁平足が起こる原因は、土踏まずの部分を形作っている足の縦アーチが崩れてしまうことにあります。そこで扁平足を改善するためには、足の縦アーチを支えている足指の筋肉を鍛えることが効果的です。

具体的には以下の方法が挙げられます。

 

【足指の筋肉を鍛える方法】

  • 足指グーパーをする
    足指に力を入れてぎゅっと閉じたり開いたりする運動を繰り返します。足指がうまく広がらない人は、足の甲をマッサージして筋肉をほぐすことから始めます
  • 足指でタオルをつかむ運動をする
    床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつかんでたぐり寄せる運動を繰り返します
  • つま先立ちをして、その状態で両足のかかとをくっつける運動をする

 

これらは、扁平足の改善だけでなく予防にも有効な方法です。上記のどれか1つでもいいので、1日のうち3セット(朝・昼・晩など)、1セットにつき少なくとも10回ほど行うように心がけてみてください。

また、裸足で過ごす時間を増やすと足指の筋力アップにつながります。

 

アキレス腱のストレッチを行う

大人の扁平足になっている人は、アキレス腱が硬くこわばっていることが多いです。アキレス腱は、ふくらはぎの下の細くくびれた部分にあります。扁平足の人はアキレス腱を伸ばすためのストレッチを積極的に行うと良いといわれています。

アキレス腱を伸ばすストレッチ方法の1つを紹介します。

 

【アキレス腱のストレッチ】

  1. 椅子の背もたれや壁に両手をつきます
  2. 片方の足を後ろに出します
  3. 後ろに出した足のかかとを床につけるようにして、太ももの裏側やふくらはぎが伸びるようにゆっくり足を伸ばします

 

急に伸ばしたり、反動をつけながら伸ばしたりすると腱を傷めることがありますので、ゆっくり伸ばすようにしてください。上記の足指の筋肉トレーニングとセットにして普段の生活に取り入れるといいかもしれません。

 

そのほか:肥満の解消を目指す

扁平足のすべての人に当てはまるわけではないですが、肥満によって足に大きな負担がかかっている人は少なくありません。肥満傾向にある人は、まずは肥満の解消を目指すことをおすすめします。

肥満とは、医学的には肥満度の指標の一つであるBMI(Body Mass Index)が25以上の人のことを指します。

 

    BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

 

上記の計算でBMIが25以上になっている人は、まずはBMIを25未満にすることを減量の目標にしてみてください。ただし、急激な体重の減らしすぎや、ダイエットのリバウンドなどによる急激な体重増加など、短期間で体重が大きく変動することは健康を損なうことになりかねません。ダイエットの仕方がわからない人は栄養士などに相談をして、無理のない方法で体重コントロールに取り組んでみてください。

 

6. 重症になったら手術が行われることも

扁平足が重症になると、足の痛みのためにつま先立ちができなくなったり、足全体が硬くなって歩けなくなったりすることがあります。上記で紹介してきたような手術以外の方法ではよくならない人や、足の変形の程度が強い人は、お医者さんと十分に話し合ったうえで、治療として手術が行われることもあります。

手術にはいくつかの方法があり、患者さんの足の状態に合わせて、足の骨の一部を切ったり、関節を固定したりする方法が選ばれます。手術を受ける前には十分な診察と検査が必要です。足の痛みや変形が強くて悩んでいる人は、まずは医療機関を受診し、担当の先生に相談してみてください。

 

7. まとめ

大人の扁平足になると足の痛みがつらく、歩くのもままならなくなることがあります。また扁平足のために歩く姿勢が悪くなると、身体の他の部分にも負担がかかり、膝や腰などあちこちに支障が出てくることもあります。足の痛みがある人は、早めに受診して治療に取り組むことをおすすめします。

また、本コラムで紹介した足指の筋肉トレーニングは扁平足予防としても有効です。扁平足になっていない人でも、ちょっとした隙間時間に取り入れて、足の健康維持に役立ててください。

 

執筆者

池田 飛鳥

参考文献

・「標準整形外科学」(中村利孝、松野丈夫/監)、医学書院、2017

・「今日の整形外科治療指針」(国分正一ら/編)、医学書院、2012

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。