2019.02.07 | コラム

人生最大の痛み!?尿路結石を経験した人が再発を予防するための方法

2Lの水があの激痛を遠ざける

人生最大の痛み!?尿路結石を経験した人が再発を予防するための方法の写真

「今まで経験したことがないほどの激痛だった」
「痛みが強すぎて動けなかった」
尿路結石にかかった患者さんは、苦痛に顔をゆがめながら外来を受診します。尿路結石の痛みは激しく、人生で最大の痛みの1つとも言われています。今回のコラムでは、尿路結石を経験した人のために、自分でできる再発予防について説明します。

1. 尿路結石の再発は多い

尿路結石は再発しやすい病気で、治療から5年後までには半数近くの人が再発するとされています。再発率は低くはないため、さまざまな予防法が検討されています。再発を完全に防ぐ方法はまだみつかってはいませんが、今回説明する「十分な水分摂取」は尿管結石の再発を抑える有効な予防法の1つです。

 

2. 水分の不足は尿路結石の原因の1つ

尿路結石の原因の1つに慢性的な「水分の不足」があります。尿路結石は、尿に含まれる成分が基になって、結晶化したものです。体内で水分が不足すると、尿は濃くなり、結石ができやすい状態になります。

 

3. 十分な水分摂取で結石の再発を抑えることができる

飲水量は、体内の水分量や尿量に影響を及ぼすため、尿路結石のできやすさにも関係しています。先ほど触れたように、尿が濃くなると結石ができやすくなります。そのため、水分をたくさんとり、尿量を増やして、濃くしないことが重要です。「尿路結石症診療ガイドライン2013」によると尿路結石を予防するために必要な1日の水分摂取量の目安は、食事以外に2L(リットル)程度とされています。

 

どれくらいの効果があるのか

結石の再発予防として「1日2L以上の飲水をするように指導を受けた人達」と「指導を受けなかった人達」の5年間の再発率を比較した研究報告では、「指導を受けた人達」の再発率は「指導を受けていない人達」の半分程度であった、という結果が得られました。また、この研究以外でも、水分摂取による尿路結石の再発予防の効果が確認されています。

 

上手に水分摂取をするにはどうしたよいか?

まず、数日間、自分の水分摂取量を記録してみてください。自分がどれくらいの水分を摂取しているかを把握してみることから始めてみるとよいです。

ほぼ毎日、食事以外で2L以上の水分を取れている人は、意識して水分を増やす必要はありませんが、2Lに満たない日が多い人は、不足分を1日のどこかで補う工夫をしてください。普段から積極的に飲水をしていない人にとっては大変ですが、「起床時にコップ1杯の水を飲む」といったように、習慣化できる具体的な方法がおすすめです。

 

水分摂取はお茶でもいいのか?

摂取する水分はシンプルな「水」がよいです。水であれば、ミネラルウォーターでも水道水でも構いません。お茶やコーヒーでも水分を補うことはできますが、お茶やコーヒーには結石の原因になるシュウ酸が含まれており、摂りすぎると、結石ができやすくなることが懸念されます。

もちろん、お茶やコーヒーを全く飲んではいけないというわけではありません。水分摂取のメインは「水」にして、お茶やコーヒーはときおり飲むといった配分で十分です。なお、ここでは詳しくは触れていませんが、結石の原因になるシュウ酸が含まれている食品は「こちらのページ」を参考にしてください。

 

水分摂取を増やす前に相談が必要な人

尿路結石の予防のためには食事以外に水分は2L以上とることをおすすめします。その一方で、お医者さんから水分摂取を制限するように言われている人は、お医者さんに相談なく水分摂取量を増やしてはいけません。例えば、心臓に持病がある人が、過剰に水分を摂取すると、心臓の負担が大きくなってしまい、持病が悪化することがありえます。心臓の病気以外では、透析治療をしている人も水分の過剰な摂取はさけなければいけません。当てはまる人はかかりつけのお医者さんと水分摂取の量について相談してください。

 

4. 尿路結石を経験した人は十分な飲水を

尿路結石症の再発予防の方法として、「十分な水分摂取」に焦点をしぼって説明しました。再発しやすい病気ではありますが、日々の水分摂取に気を配ることで予防ができます。簡単な方法なので、すぐにでも始めてみてください。

 

このコラムを読んで、一人でも多くの人が尿路結石の再発を防ぐことができれば幸いです。

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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