ニコチン補充療法の効果の調査
イギリスとニュージーランドから集まった研究班が、ニコチン補充療法の効果について研究データの調査を行い、結果を『Cochrane Database of Systematic Reviews』で報告しました。
この調査は、以前に行われた研究のデータを集めて吟味し要約したものです。調査の対象として、ニコチンガムやニコチンパッチなどのニコチン補充療法によって長期的に禁煙できる効果と副作用を、有効成分を含まない偽薬またはニコチン補充療法以外の治療と比較した研究を選びました。
これまでの研究データの解析の結果
調査の結果、条件に合う136件の研究が見つかりました。
データを統合したところ、ニコチン補充療法を行った場合には、行わなかった場合に比べて、禁煙できた人の割合が1.55倍になっていました。ニコチン補充療法の方法ごとに見ると、ニコチンガムでは1.49倍、ニコチンパッチでは1.64倍、錠剤では1.52倍、ニコチン吸入器では1.90倍、鼻スプレーでは2.02倍となっていました。
ニコチン補充療法による副作用の可能性があることとして、ニコチンパッチを使った人で皮膚の荒れ、ガムまたは錠剤を使った人で口の中の荒れが起こっていました。また、何らかのニコチン補充療法を行った人では、行わなかった人に比べて胸の痛みまたは動悸を感じることが多くなっていました。ただし、胸の痛みや動悸はまれにしかなく、特に深刻なものはさらにまれでした。
禁煙のためのニコチン補充療法の有効性
ここで報告されたように、ニコチン補充療法は禁煙を助ける効果が知られ、現在も使われています。日本でもニコチンガムやニコチンパッチが処方箋なしでドラッグストアなどで手に入るほか、禁煙外来を設けている医療機関もあります。禁煙外来では医師の判断によってニコチン補充療法などの禁煙サポートを得ることができます。
喫煙習慣にはニコチンによる影響の面があるため、自分の意思だけでは禁煙が難しい人も少なくありません。困った時には禁煙外来などに相談することで、自分に適した禁煙方法を医師と一緒に考えることができます。
執筆者
Nicotine replacement therapy versus control for smoking cessation.
Cochrane Database Syst Rev. 2018 May 31.
[PMID: 29852054]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。