2017.12.25 | ニュース

プロバイオティクスはC. ディフィシル関連下痢症を予防できるか?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

プロバイオティクスはC. ディフィシル関連下痢症を予防できるか?の写真

下痢などの原因になるクロストリジウム・ディフィシルという細菌は、抗菌薬使用時などに腸内細菌のバランスが崩れることで症状を引き起こすと考えられています。有益な細菌を体に入れる予防法の効果が検討されました。

プロバイオティクスにCDADの予防効果はあるか

アメリカの研究班が、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症(CDAD)の予防について文献の調査を行い、結果を『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

この調査はプロバイオティクスによる予防効果を調べています。

プロバイオティクスとは人体にとって有益と考えられた細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつのことです。細菌を薬のように体に与えることで予防効果を狙います。

人間の腸にはたくさんの種類の細菌が住み着いています。もともとクロストリジウム・ディフィシルを持っていても症状がない人もいます。抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がないを使用することなどで腸内細菌のバランスが変化し、クロストリジウム・ディフィシルの割合が大きくなることが、CDADにも関係すると考えられます。

調査では、過去に行われた研究データを収集し、内容を吟味したうえ統合することで、プロバイオティクスがCDADを予防できるかどうかを推定しています。

 

CDADの発症率:4.0% vs 1.5%

31件の研究のデータを統合したところ、研究を完了した参加者の中でCDADは、偽薬または無治療のグループでは4.0%(4,147人中164人)に発生していましたが、プロバイオティクスを使用したグループでは1.5%(4,525人中70人)に発生し、プロバイオティクスによってCDADのリスクが減ると推定されました(中等度の確かさの証拠)。

副作用の可能性がある出来事については非常に不確かなデータしか得られませんでした。どちらのグループでも、さしこむような腹痛、吐き気、発熱、軟便、鼓腸(お腹にガスがたまること)、味覚障害などが報告されていました。

研究班はこれらの結果から「中等度の確かさの証拠から、プロバイオティクスはCDADの予防に有効であることが示唆された」と結論しています。

 

プロバイオティクスはCDADを予防するか?

クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症に対するプロバイオティクスの予防効果についての調査を紹介しました。プロバイオティクスによってCDADがいくらか減るというデータが見つかりました。

 

クロストリジウム・ディフィシル感染症は時には脱水などによって危険な状態を引き起こします。ほかの人にうつさないための手洗いなども重視されています。ほかにも効果的な予防策を探る中で、紹介したようにプロバイオティクスに注目した研究も行われています。

 

なお、クロストリジウム・ディフィシル感染症の対策としては抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含むを正しく使うことも大切です。

ほとんどの抗生物質が、クロストリジウム・ディフィシル感染症の原因になりえます。抗生物質は感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称の治療に欠かせない大切な薬ですが、使うべきときに正しく使わなければ、思わぬ結果に結び付く恐れもあります。病院で抗生物質を出されたら、説明をよく聞いて、用法・用量を守って使ってください。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Probiotics for the prevention of Clostridium difficile-associated diarrhea in adults and children.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Dec 19.

 

[PMID: 29257353]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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