キイトルーダをリンパ腫にも、効能など追加の3製品はどんな薬?

2017年11月30日に、医療用医薬品3製品について効能・効果などの追加が承認されました。キイトルーダ、アディノベイト、ノルディトロピンに新しく承認された点を紹介します。
キイトルーダとは?
ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ®)は、
ペムブロリズマブに対して新しく「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」の効能・効果が追加されました。古典的ホジキンリンパ腫は、血液の細胞に由来するがんの一種です。
臨床試験では、古典的ホジキンリンパ腫の患者で、以前に治療を受けたけれどもがんの進行があったか再発したなどの条件に合う人が対象とされました。ペムブロリズマブを使う治療の効果が検討されました。
対象者を以前の治療の内容によってグループ分けし、グループごとに効果を集計したところ、がんが小さくなる効果(完全奏効または部分奏効)は65.4%から72.5%の人に現れました。
この臨床試験では対象者全体のうち68.6%に副作用が現れました。特に多くの人に出た副作用は甲状腺機能低下症と発熱でした。
関連記事:再発・難治の古典的ホジキンリンパ腫にキイトルーダは効く?
アディノベイトとは?
ルリオクトコグ アルファ ペゴル(商品名アディノベイト®)は、血友病Aの治療薬です。
血友病Aは、血が固まりにくく出血しやすい病気です。血液が固まるには体内で作られるさまざまな物質が必要ですが、そのひとつの血液凝固第VIII因子が欠乏していると出血しやすい
ルリオクトコグ アルファ ペゴルは以前から「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果として使われています。今回新しく、12歳未満の子供に対する用法・用量が追加されました。
臨床試験では、以前にほかの治療を受けたことがある12歳未満の重症型血友病A患者を対象にして、ルリオクトコグ アルファ ペゴルの定期的な投与により出血を予防する効果と、出血時のルリオクトコグ アルファ ペゴル投与による止血効果を調べています。
ルリオクトコグ アルファ ペゴルの定期投与を受けた66人のうち、25人は研究期間に問題になる出血が一度もありませんでした。また出血時のルリオクトコグ アルファ ペゴル投与は70件行われ、うち63件(90.0%)で効果が確かめられました。
副作用について、この臨床試験で1人に蕁麻疹(じんましん)が現れました。
ノルディトロピンとは?
ソマトロピン(商品名ノルディトロピン®)は、成長
ヌーナン症候群は遺伝子の異常によるまれな病気です。ヌーナン症候群は先天性心疾患や低身長を現す場合があります。
子供の骨はある時期に骨端線閉鎖という変化を遂げてそれ以上伸びなくなります。骨端線が閉鎖する前なら身長が伸びる可能性があると考えられます。
ソマトロピンの臨床試験では、ヌーナン症候群で低身長である子供を対象に、ソマトロピンを104週間注射しました。対象者を25人と26人の2グループに分け、用量を変えて使用しました。
対象者の身長は病気のない子供の平均を下回っていましたが、104週後には平均からの差がより小さくなりました。偏差値に相当するSDスコア(SDスコア1が偏差値10に相当)で表現すると、低用量のグループでは身長のSDスコアが平均0.84増加し、高用量のグループでは身長のSDスコアが平均1.47増加しました。
副作用として、この臨床試験で51人中10人に検査値異常などが現れました。
まとめ
薬に新しい効能・効果などが加わることにより、保険診療として使える新しい選択肢となります。臨床試験から報告されているデータを参考に、従来の治療法と比べて有効性や副作用を考えることで、ひとりひとりに合った治療の可能性を広げることができます。
執筆者
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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。