カンジダ症とは?
カンジダは健康な人の体にも住み着いていることがあります。他人からうつされることも考えられますが、もともとカンジダを持っている人もいます。
カンジダがいるだけでは症状はなく治療の必要もありません。しかし糖尿病やステロイド内服薬の長期使用、抗菌薬(抗生物質)の使用などをきっかけにカンジダが異常に増殖して性器のかゆみや白色の分泌物などをあらわす場合があります。治療としてカビに効く薬(抗真菌薬)が使われます。
抗菌薬がカンジダ症のきっかけになる理由は、常在菌のバランスが崩れることと考えられています。
プロバイオティクスは人体に有益に働くと考えられた微生物です。微生物を含むようにした製品を食べる・飲むなどして効果を狙います。
外陰部膣カンジダ症に対するプロバイオティクスの効果
中国四川省の研究班が、文献の調査により、妊娠していない女性の外陰部膣カンジダ症に対するプロバイオティクスの効果を調べ、結果を『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。
この調査は、以前に行われた研究のデータを集めて評価し、統合したものです。
10件の研究が見つかりました。すべて抗真菌薬の治療を行ったうえでプロバイオティクスを追加するかどうかを試していました。
短期的な効果はあるかもしれないが不確か
見つかったデータから次の結果が得られました。
プロバイオティクスを追加した人で、短期的に症状がなくなった割合がわずかに高く、追加しない場合の1.14倍となっていました。ただし得られたデータは不確かなものと判断されました。
治療後1か月または3か月時点で比較すると、どちらも違いは確認できず、データは非常に不確かなものと判断されました。
副作用などによって深刻な害が現れる可能性については、プロバイオティクスを追加しない場合と比べて違いが確認できませんでした。ただしデータは不確かと見られました。
カンジダでプロバイオティクスは使うべき?
妊娠していない女性の外陰部膣カンジダ症とプロバイオティクスについての調査を紹介しました。
短期的にわずかな効果を示すとしたデータが見つかったものの確かではなく、1か月・3か月で見るとさらに不確かという結果でした。
大きな害も指摘されていないことから、通常の抗真菌薬の治療を行ったうえでプロバイオティクスを試したい人は、やってみても間違いとは言えないでしょう。ただし強い期待をかけるあまり通常の治療が後回しになってしまうようでは順番が違うかもしれません。
プロバイオティクスはメディアで話題にされることもありますが、本当に効果があるのか気になったときには実際に試したデータを参考にすることができます。
執筆者
Probiotics for vulvovaginal candidiasis in non-pregnant women.
Cochrane Database Syst Rev. 2017 November 23.
[PMID: 29168557]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。