非小細胞肺がんの体幹部定位放射線治療は誰が使う?米学会の推奨
肺がんの治療にも使われる体幹部定位放射線治療は、狙った場所に正確に放射線を照射する技術です。非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療の使い方について、アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)が推奨を出しました。
体幹部定位放射線治療とは?
非小細胞肺がんに対するSBRT
ASCOは、アメリカ放射線
早期の非小細胞肺がんがある患者が対象とされました。非小細胞肺がんとは肺がんのうち小細胞肺がんというタイプ以外のものを指します。
ASCOのガイドラインには、要約すると以下の内容が記載されました。
ステージ Iで手術のリスクが標準的な患者にSBRTは勧められない。- 手術のリスクが高いまたは手術不能と見られた患者でSBRTが考慮される。また以下のように治療法に迷うケースでもSBRTが選択肢となる場合がある。
がん が中枢部に位置する- がんの大きさが5cmを超える
組織診 がなされていない- 複数のがんが同時に発生している
- 肺切除術のあと新たながんが発生した
- がんが
縦隔 に近いか縦隔に及んでいる - がんが胸壁に接している
- 前の治療後にがんが再発した
- 多分野から成るがん診療チームの中で治療選択を話し合うことが重要。
体幹部定位放射線治療は使うべき?
非小細胞肺がんに対する体幹部定位放射線治療について、アメリカ臨床腫瘍学会が著した推奨を紹介しました。
肺がんの治療はがんの状態や全身の状態などによって細かく使い分けられています。どの治療を優先して選ぶかの判断は複雑です。紹介したガイドラインでも多分野から成るがん診療チームが相談することの重要さが強調されています。
そんな中でも、すでにわかっていることがガイドラインの形に整理されていることで、事実に基づいた判断の助けとし、患者自身が意思決定の過程に加わって最適な治療を目指すために役立てることができます。
執筆者
Stereotactic Body Radiotherapy for Early-Stage Non-Small-Cell Lung Cancer: American Society of Clinical Oncology Endorsement of the American Society for Radiation Oncology Evidence-Based Guideline.
J Clin Oncol. 2017 Nov 6. [Epub ahead of print]
[PMID: 29106810]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。