2017.09.23 | ニュース

関節リウマチの薬シムジアはどれくらい効く?副作用は?

文献の調査から

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セルトリズマブペゴル(商品名シムジア®)は関節リウマチの治療に使われています。効果と副作用についてこれまでの研究から報告されているデータの調査が行われました。

従来型DMARDsで効果不十分な成人の関節リウマチに対して

セルトリズマブペゴルは日本でも関節リウマチの治療薬として承認されている注射薬です。日本では2013年に販売開始されました。ただし使える条件として「原則として既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者に限定する」などが添付文書に記載されています。

関節リウマチの治療薬には多くの種類があります。総称でDMARDsと呼ばれる薬が重視されますが、DMARDsの中でも比較的古くから使われているメトトレキサートなどは「従来型」DMARDsと呼ばれる場合があります。
スペインの研究班が、セルトリズマブペゴルの効果と副作用について研究報告の調査を行い、『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

この調査は過去に行われた研究の結果を集めて評価し統合したものです。

調査対象として、従来型DMARDsを使用したが関節リウマチの症状が続いている成人患者に対してセルトリズマブペゴルを試した研究を集めました。

2014年にも同様の調査が行われていましたが、より新しい報告も調査範囲に含めて更新しました。

 

ACR50が4人に1人

調査の結果、基準を満たす14件の研究が見つかりました。

セルトリズマブペゴルの用法・用量は研究ごとに違いがありました。2週間に1回、200mgずつの注射による24週間後の結果としてまとめると、次の結果が得られました。

  • 4人が治療を受けるごとに1人の割合で、ACR基準の50%の改善(痛み、機能、その他の関節リウマチの症状)が得られると見られました。
  • 8人が治療を受けるごとに1人の割合で、一定基準未満まで症状が治まると見られました。
  • 副作用やその他の原因で深刻な事態が起こる人は、セルトリズマブペゴルを33人が使うごとに1人の割合で増えると見られました。

いずれも確信度の高い証拠があると判断されました。

 

セルトリズマブペゴルは有益か?

セルトリズマブペゴルの利益と害についての調査結果を紹介しました。深刻な害が出る人は比較的少数で、より多くの人が利益を得られると期待できるでしょう。

関節リウマチの治療薬は最近20年ほどの間に大きく進歩しました。セルトリズマブペゴルと似た作用を持つ薬(TNFα阻害薬)を含め、状況に応じてさまざまな薬が選択可能となっています。

どの薬がどんな人に最適かは現時点では予測できない部分があります。ただ、実際のデータをもとに効果をなるべく正確に見積もり比較することによって、選択の参考とすることができます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Certolizumab pegol (CDP870) for rheumatoid arthritis in adults.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Sep 8. [Epub ahead of print]

[PMID: 28884785]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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