2017.07.31 | PR

実は進化した医薬品 ジェネリック医薬品における製剤の工夫とは

値段が安いだけじゃない、ジェネリックの付加価値に関して

実は進化した医薬品 ジェネリック医薬品における製剤の工夫とはの写真

ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べ一般的に安価なだけでなく、独自の改良を加えたものもあります。先発医薬品の有効性や安全性を引き継ぐ薬とも言えるジェネリック医薬品ですが、100%瓜二つというわけではないのです。

先発医薬品には主成分だけでなく製造方法などに特許を持つ場合があります。この特許により使用できない添加剤などがある場合も考えられ、その場合には各企業独自の製剤設計や高度な製造技術などを導入する必要があります。時にこのことがジェネリック医薬品に製剤としての新たな利点をもたらすケースもあります。

ジェネリック医薬品は単に安いだけでなく、付加価値を持った製品が存在する場合があります。

 

剤形(剤型)の進化

付加価値を示すひとつの例がOD錠などの名称で呼ばれる口腔内崩壊錠口腔内崩壊錠。口腔内で唾液または少量の水で崩壊する(崩れる)ように飲みやすく工夫した製剤。の剤形(剤型)の追加です。

口腔内崩壊錠とはその名前の通り「口の中で唾液(または少量の水)で崩壊する(溶ける)ように造られた製剤」です。もちろん先発医薬品においても口腔内崩壊錠の剤形(剤型)が存在する薬剤はありますが、ジェネリック医薬品だけに口腔内崩壊錠が存在するケースもあります。例えば、睡眠導入剤のゾルピデム(ゾルピデム酒石酸塩)が挙げられます。

ゾルピデムの先発医薬品は普通の錠剤(2017年7月時点)ですが、ジェネリック医薬品には口腔内崩壊錠が存在します。睡眠障害の改善に用いる睡眠導入剤は多くの場合「就寝前(寝る前)」に服用します。通常の錠剤(普通錠)であれば誤嚥防止などの観点から水分と一緒に服用しますが、少なからず水分を摂ることで夜間の尿意などへ影響を与える懸念もあります。また水分摂取の影響などにより夜中にトイレに起きた際、ふらつきなどがあらわれることで転倒のリスクに関する懸念もあります。ゾルピデムは睡眠導入剤の中でも比較的、翌朝までの持ち越し効果やふらつきなどのリスクが少ない薬とされていますが、それでもゼロというわけではありません。口腔内崩壊錠であれば寝る前の水分摂取を最小限に抑えられるなどのメリットが考えられます。

 

剤形(剤型)の追加は薬の急な服用の際にも有用となることが考えられます。主に片頭痛偏頭痛発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多い時に使うトリプタン系薬剤のひとつ、スマトリプタン製剤のジェネリック医薬品には先発医薬品にはない液剤(内用液)があります。トリプタン系薬剤は頭痛が起こってからなるべく早く使った方が一般的に高い効果を得られる薬ですが、頭痛が起こった時に身近に水分(飲み物)があるとは限りません。スマトリプタン内用液は1回飲みきりの分包された製剤ですので、頭痛発作時にすばやくタイムリーに服用できるメリットが考えられます。

このようにジェネリック医薬品の剤形(剤型)が工夫される一方で、先発医薬品にも剤形(剤型)の進化があります。スマトリプタンの先発医薬品にはジェネリック医薬品にはない注射剤、点鼻液といった剤形があり、また先発医薬品の注射剤は片頭痛に加え群発頭痛の保険適用も持つことからも有用性が高い製剤になっています。

このように、薬剤には主成分だけで「同じ薬」とは言えないさまざまな選択肢があるのです。

 

ジェネリック医薬品にのみ液剤が存在する薬剤はスマトリプタン以外にもあります。たとえば、ニューキノロン系抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がないのレボフロキサシンのジェネリック医薬品には液剤があります。また抗血小板薬血小板が血栓を作る作用を抑えるための薬。脳梗塞などの予防に使用されるであるシロスタゾールではジェネリック医薬品にはゼリー剤の剤形(剤型)があります。

より服用しやすい使いやすい剤形(剤型)がジェネリック医薬品にあれば、価格の安さだけではないメリットが考えられます。

 

湿気、温度、光など…環境への対応

超高齢社会となり、さらに高齢化が進む日本の医療において、薬をいかに適切に飲める(使える)かは今後も課題のひとつとなってきます。

慢性疾患などの治療で数種類、場合によってはそれ以上の種類の薬を使用しているケースも珍しくはありません。

飲み忘れや服薬間違いを防ぐなどの観点から「一包化調剤」が行われる機会が増えてきています。製剤の吸湿性や、一包化調剤とは、「朝」「夕」など服用時点ごとに複数の薬を一緒に1回ごとにパック(分包)する調剤方法です。「ワンドーズ」ともいいます。一包化調剤を行うにあたりネックとなることのひとつに、光・温度などへの耐久性があります。

 

吸湿性は特に一包化調剤にとって天敵とも言えます。たとえばカリウム製剤やバルプロ酸ナトリウム製剤などの中にはシート包装から取り出すと短時間で湿気などの影響を受けてしまう製剤があります。

ほとんどの地域で梅雨があり比較的高温多湿な日本においては、湿度・温度・光などに対して、製剤がどれだけ耐えられるかも重要です。特にシート包装から取り出して分包調剤する一包化調剤においては、湿度・温度・光などといった環境による影響を受けにくい製剤が求められます。

 

ところで高齢者などで嚥下機能(飲み込む能力)が低下している人がいます。うまく飲み込めなかったものが気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)は危険です。

嚥下機能の懸念がある場合に有用となるのが口腔内崩壊錠(D錠、OD錠など)です。前項のゾルピデム製剤のところでも話題にしましたが、唾液によって口の中で溶けてくれる口腔内崩壊錠は、水なしで飲める(最近は口腔内崩壊錠であっても水分と一緒に服用し、より確実な服用を勧めるケースも増えてきています)というメリットの他に、嚥下機能の低下しているケースにおいて誤嚥を防ぐというメリットも考えられます。

一方で口腔内崩壊錠は崩壊しやすい分、一包化調剤した際に崩れやすかったり、湿度や温度などによる影響を受けやすいというデメリットも考えられます。

ジェネリック医薬品の中には口の中での溶けやすさを維持しつつ、錠剤の強度を高めたOD錠もあります。また一包化調剤にも対応できる耐湿性を持たせたり、光による製剤の変化を防ぎやすくする錠剤へのコーティングなどの工夫を施した製剤があります。もちろん先発医薬品においても一包化調剤などに配慮し、湿気や光などに耐性菌に抗菌薬が効きにくい性質のこと。ある菌に特定の抗菌薬が効かない場合、「この抗菌薬に耐性がある(耐性化している)」などと表現されるを持たせた製剤がありますが、後から発売されるジェネリック医薬品ではより良い工夫や高い品質を目指した製剤もあり、付加価値となる場合も考えられるのです。

 

点眼薬におけるジェネリック医薬品の工夫とは

先ほどの項では、主に内服薬飲み薬のこと(飲み薬)の湿度や温度などへの耐性に注目して紹介しましたが、内服薬以外にもジェネリック医薬品はあります。ジェネリック医薬品における目薬(点眼薬目薬のこと)の工夫も紹介します。

多くの点眼薬では開封後ひと月を経過したら残液があったとしても品質面や安全面などの観点から廃棄することが望ましいとされています。

例外はあり、点眼薬の中には、ひと月を経過する前に廃棄することが望ましい製剤もあります。また一般用医薬品(市販薬)における点眼薬では開封後2〜3ヶ月内であれば使用可能な製剤もあります。ただ傾向としては開封後の点眼薬を使用できる期間はひと月程度が多いと言えるでしょう

では、ひと月以上の出張などで点眼薬を使い続ける必要がある時はどうすればいいでしょうか。

未開封の点眼薬を持って行けばいいと思えるかもしれません。それは正しいのですが、今度は未開封の点眼薬をどうやって保管するかが問題になります。

保管で問題になるのが温度です。緑内障の治療で使われるラタノプロスト点眼薬における先発医薬品(未開封品)の保存は、遮光の上2℃から8℃の冷所で行います(開封後使いきるまでの短期間なら室温(1-30℃)での保存も可能です)。これは未開封で品質を3年間維持する条件を満たすために必要な条件が冷所保存という理由から設定されています。

つまり、ラタノプロスト点眼薬の先発医薬品は、常に冷所保存ができない状況で長期間保管することを想定されていないのです。

一方、ラタノプロスト点眼薬のジェネリック医薬品の中には、未開封品の保管は遮光の上室温でも可能である製剤があります。これは室温(1-30℃)保存において3年間の品質が確保できることが確認されているからです。

ケースとしてはそこまで多くないかもしれませんが、室温で保管可能であることがジェネリック医薬品のメリットになる場合も想定できるのです。

 

アレルギー体質などにも配慮した点眼薬とは

ラタノプロスト点眼薬のジェネリック医薬品の中には更に「進化を遂げた」と言うべき製剤もあります。それは容器に工夫を施すことで防腐剤無添加を実現した製剤です。

点眼薬(点眼剤)自体は無菌的に製造される製剤ですが、開封後に繰り返し使うことを想定し、微生物による二次汚染防止の目的のため、多くの製剤で防腐剤が含まれています。代表的な防腐剤としてベンザルコニウム塩化物があります。ベンザルコニウム塩化物は陽イオン界面活性剤(逆性石鹸と呼ばれることもある)という種類の薬剤で消毒剤などとしても使われることがあります。身近な物質ですが、目に入れるものとしての安全性を考えておく必要はあります。

もちろん点眼薬に添加剤として使われる防腐剤は微量であり「医薬品添加物辞典」に収載されている使用量の範囲内のものです。しかし微量とはいえ時折、防腐剤による角膜上皮障害やアレルギー免疫反応によって、体が過剰な防御反応を起こして悪影響が生じてしまう状態反応による接触性皮膚炎などが懸念となります。実際に防腐剤が原因とされるアレルギー症状なども報告されています。

そこでラタノプロストのジェネリック医薬品には、防腐剤無添加でありながら開封後の微生物による汚染を防ぐ製剤があります。詳しくは割愛しますがPFデラミ容器®という工夫された容器が使われています。

 

PFデラミ容器のPFについてPFとはPreservative Freeの略で防腐剤無添加を意味します。

 

この容器を用いた防腐剤無添加の製剤はラタノプロスト製剤以外にもいくつか存在します。仮にある治療を点眼薬で行うとして、治療に使われる薬剤を主な有効成分とする防腐剤無添加の製剤があれば、点眼薬で過去に過敏症を引き起こした既往歴がある患者などにとっては、有用な選択肢となることが考えられます。

 

識別性や味など、その他の工夫に関して

ジェネリック医薬品では薬剤の見分けやすさ(識別性)を高めた製剤も多く存在します。

例として写真のように錠剤への有効成分のカタカナ印刷や規格などの印刷により薬剤を特定しやすくした工夫が施されている場合があります。このような工夫は患者にとって薬剤の理解(飲み忘れや飲み間違いなどの防止)などにつながるだけではなく、薬剤の特定がしやすいなどの観点から医療従事者や介護従事者にとってのメリットも考えられます。

 

写真提供:日本ジェネリック製薬協会

 

他には薬剤の包装シート上に薬剤の種類(例えば「高血圧治療薬」や「抗アレルギー薬」など)や服用方法(例えば「就寝直前服用」など)が記載されている製剤もあります。

また錠剤の大きさを先発品医薬品や従来品より小さくし飲みやすくしたり、苦味を軽減するなど味や風味を改良したり、先発医薬品にはない規格を新たに追加したりすることで、患者のアドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)の向上などにつながる可能性も考えられます。

 

図表提供:日本ジェネリック製薬協会「知っ得!ジェネリック!」

 

もちろん、先発医薬品においても錠剤への有効成分のカタカナ印刷や規格などの印刷により薬剤を特定しやすくした工夫が施されている製剤もありますし、口腔内崩壊錠において安定性や口の中での溶けやすさなどを追求した製剤もあります。あくまでもひとつの見方になりますが、ジェネリック医薬品の進化や普及が良い意味での医薬品における競争を生み出しているとも言えます。

近年、ジェネリック医薬品の中で先発医薬品を製造するメーカーから許諾を得て製造した医薬品が注目を集めています。オーソライズド・ジェネリック(Authorized Generic)と呼ばれるこのジェネリック医薬品の多くは原薬や添加剤(添加物)、製法などが先発医薬品と同一で、特許使用の許可を得て優先的に先行して販売できるジェネリック医薬品でもあり、今後増えていくことが予想されています。

 

「Generic」とは「一般的な」を意味する言葉ですが、今回紹介したようにより使いやすく付加価値などが考えられる製剤が増えていくことで、ジェネリック医薬品はより身近で一般的な存在になってくるのかもしれません。

執筆者

MEDLEY編集部

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。