ネグレクトで網膜剥離を放置されていた15歳男子

強い近視の人は網膜剥離が起こりやすくなっています。急な視力低下や視野欠損で気付く場合があります。アメリカで網膜剥離を診断された人の例が報告されました。
右目が急に見えなくなり網膜剥離を発見
アメリカのカリフォルニア大学の研究者2人が、強度の近視とともに網膜剥離が起こった15歳男子の検査画像を、医学誌『Lancet』に報告しました。
この患者は、右目が急に見えなくなったことで来院しました。報告によれば、「彼は両目で-14ジオプトリと計測される強度の近視があり、親のネグレクトのため未治療で放置された長年の網膜剥離により左目の視力は光覚弁のみだった。」という状態でした。
眼底検査で網膜剥離が確かめられました。広い範囲の網膜が剥がれてひだ状に持ち上がっていましたが、黄斑(網膜の中心にあたる部分)には及んでいませんでした。
硝子体手術とレーザー手術、シリコンオイルを使い、網膜を修復する治療がなされました。4か月後にも網膜は接着した状態が保たれ、視力は20/70(0.29)でした。
報告には、治療前後の網膜を検査して超広視野眼底撮影技術によって得られた画像が使われています。
網膜剥離は何に気を付ける?
強度の近視と網膜剥離が見つかった人の例を紹介しました。医療ネグレクトのような虐待はあってはならないことですが、患者が医療機関にたどり着いたことで治療を受けることができました。
網膜剥離は、加齢、目の打撲などによって引き起こされる場合があります。強い近視でも確率が上がります。とはいえ、近視の人の中でも網膜剥離が起こる人はごく一部だけです。
糖尿病網膜症によって起こる網膜剥離もあります。糖尿病網膜症は、糖尿病の早期治療によって防げる可能性があります。しかし、若い人に網膜剥離が起こり、原因がはっきりしないこともあります。もともと心当たりのない人にとっては、あらかじめ気を付けておくというよりは、もし視力低下や見えかたの変化などの症状を感じたときに眼科で相談することが大切でしょう。
網膜剥離は失明に至る可能性もありますが、適切に治療することで悪化を防ぐことができます。
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。