2017.05.05 | ニュース

禁煙したい人のグループ治療で本当にやめられる?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

禁煙したい人のグループ治療で本当にやめられる?の写真

禁煙したいと思っても簡単にはやめられないものです。禁煙を助ける治療として薬なども使えます。禁煙のためのグループ治療の効果について、これまでの研究でわかっていることが調査されました。

文献の調査によってグループ治療の効果をまとめ、『Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告された研究を紹介します。

この研究は、研究データベースを検索して、以前に行われた研究報告の内容を調査したものです。グループ治療として参加者が2回以上集まる方法をとり、治療開始から最低6か月以上の喫煙状況を追跡していた研究を調査対象としました。

グループ治療は、喫煙者のグループに対して行動を変えるための指導などを行う治療法です。参加した喫煙者が互いに助け合える側面もあります。

 

関係する66件の研究が見つかりました。その中で次の結果が出ていました。

13件の試験がグループプログラムを自助プログラムと比較していた。禁煙成功の増加があった(4,395人、リスク比1.88、95%信頼区間1.52-2.33、I2=0%)。

14件の試験がグループプログラムを医療従事者による短期間の支援と比較していた。禁煙成功はわずかに増加した(7,286人、リスク比1.22、95%信頼区間1.03-1.42、I2=59%)。

グループ治療が同程度の強さの個別カウンセリングよりも有効という証拠は見つからなかった(6件の試験、980人、リスク比0.99、95%信頼区間0.76-1.28、I2=9%)。

グループ治療により、自助プログラムよりも高い割合の参加者が禁煙に成功していました。また、医療従事者による短期間の支援と比べても、グループ治療のほうが高い割合で禁煙に成功していました。グループ治療と同程度の個別カウンセリングを比べると、統計的に差が確かめられませんでした。

研究班はこれらの結果を「グループ治療は喫煙をやめるのを助けるために自助およびその他のより軽度な介入に勝っている」とまとめています。

 

グループ治療が禁煙を助ける効果の研究を紹介しました。

喫煙は肺がんだけでなく心筋梗塞や脳卒中など多くの病気が発生する確率を高くします。健康のために禁煙はとても大切です。

しかし、努力してもつい吸ってしまう人はいます。タバコには依存性があるので仕方ないことです。適切な禁煙治療によって助けてもらうのもいい方法です。

禁煙治療には禁煙補助薬やカウンセリングなどの方法もあります。グループ治療も医学研究により効果を確かめられています。自分に合った禁煙の方法を探してみてください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Group behaviour therapy programmes for smoking cessation.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Mar 31.

[PMID: 28361497]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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