2017.03.31 | ニュース

妊娠中にインフルエンザの薬を飲んでも子供に影響はない?

ノイラミニダーゼ阻害薬を使用した5,824人の母親の調査から
from BMJ (Clinical research ed.)
妊娠中にインフルエンザの薬を飲んでも子供に影響はない?の写真
(C) Hassan Reine - Fotolia.com

薬の中には妊娠中に使えないものもあります。インフルエンザの薬について、ヨーロッパ各地のデータを解析した結果、妊娠中に使用しても生まれてきた子供に影響は見られなかったことが報告されました。

インフルエンザウイルスに有効な薬として、ノイラミニダーゼ阻害薬という種類の薬があります。ノイラミニダーゼ阻害薬はウイルスの増殖を防ぐことで治療効果を現します。ノイラミニダーゼ阻害薬に分類される薬には、飲み薬のオセルタミビル(商品名タミフル®)のほか、吸入薬のザナミビル(商品名リレンザ®)などがあります。

ノルウェー・デンマーク・スウェーデン・フランスから集まった研究チームが、各国の統計データをあわせて、妊娠中にオセルタミビルまたはザナミビルを処方されたときに、子供の体に影響がないかを調べ、医学誌『BMJ』に報告しました。

オセルタミビルまたはザナミビルを処方された5,824人の女性と、処方されていない692,232人の女性のデータを比較しました。

 

データの解析により、生まれてきた子供に以下の変化があった割合は、オセルタミビルまたはザナミビルを母親が処方されたかどうかによって違いが見られませんでした

  • 低出生体重
  • Apgarスコア低値
  • 早産
  • 妊娠週数に対して小さい
  • 死産
  • 新生児死亡
  • 新生児疾患

※Apgarスコアは産まれたばかりの子供に命の危険が迫っていないかを見る尺度。肌の色が青ざめていないか・脈拍・刺激すると泣くか・手足を動かすか・呼吸の5項目を各3段階で評価する。

また、妊娠初期に母親がノイラミニダーゼ阻害薬を使用したときに、子供の先天形態異常は増加していませんでした。

 

妊娠中の女性がオセルタミビルまたはザナミビルを処方されても子供に影響は見つからなかったという研究結果を紹介しました。

日本で使われているタミフル(オセルタミビル)の添付文書では、妊娠中の女性には「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する」と指示されています。もし使うことになっても、明らかな子供への影響は知られていません。

 

ただし、子供に安全とは言っても、ほかに下痢などの副作用が出る場合もあります。インフルエンザの薬の効果は熱が下がるのを1日早くする程度です。インフルエンザだから必ず薬を使うべきとは限りません。

妊娠中にもインフルエンザ対策には予防接種と手洗いが大切です。

インフルエンザワクチンは妊娠時期にかかわらずインフルエンザの季節の前に打つことが勧められています。ワクチンの効果は絶対ではありませんが、インフルエンザにかかる確率を下げることができます。

 

この冬の全国的な流行は落ち着いてきましたが、インフルエンザは季節外れに小さな流行を起こすこともあります。周りの人がかかっていないかに気を付けつつ、それでもインフルエンザにかかってしまったら、薬を賢く使って元気になってください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Neuraminidase inhibitors during pregnancy and risk of adverse neonatal outcomes and congenital malformations: population based European register study.

BMJ. 2017 Feb 28.

[PMID: 28246106]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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