2017.03.15 | ニュース

バリウム検査後2か月は虫垂炎が9.7倍に?

台湾で検査を受けた24,885人のデータから

from The American journal of medicine

バリウム検査後2か月は虫垂炎が9.7倍に?の写真

胃のバリウム検査は胃がん検診として行われていますが、検査が害をなす場合もあります。バリウム検査を受けた人の追跡調査から、検査を受けていない人よりも虫垂炎が多く発生していたことが報告されました。

台湾の研究班が、台湾の登録データベースを使ってバリウム検査(胃X線検査X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査)を受けた人の虫垂炎の頻度を調べ、医学誌『American Journal of Medicine』に報告しました。

この研究では、台湾で2000年から2010年の間にバリウム検査を受けた人24,885人と、比較のためバリウム検査を受けていない人98,384人のデータが解析されました。

 

解析により次の結果が得られました。

性別・年齢・併存症を調整したのち、バリウム検査なしのコホートに比べてバリウム検査コホートのほうが虫垂炎のリスクは高く(調整ハザード比1.46、95%信頼区間1.23-1.73)、特に最初の2か月で高かった(調整ハザード比9.72、95%信頼区間4.65-20.3)。

バリウム検査を受けていない人よりも、バリウム検査を受けた人のほうが全体で1.46倍多く虫垂炎が発生していました。特に検査後最初の2か月では、検査を受けていない人の9.72倍多く虫垂炎が発生していました。

 

バリウム検査による害の可能性が考えられるデータを紹介しました。

バリウム検査ではX線X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査写真(レントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査写真)に胃の形が写るように、バリウムの造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすること剤を飲みます。バリウムは腸を通過して排泄されます。しかし、バリウムの一部が、腸の途中で飛び出している虫垂にたまってしばらく残る人もいます。ほとんどの人では虫垂に残ったバリウムも自然に排泄されますが、バリウムが塊を作り、虫垂に詰まって虫垂炎の原因となる場合もあります。

虫垂炎だけを理由にバリウム検査を否定することはできませんが、バリウム検査の短所のひとつに数えることができます。

2016年に「がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」が一部改訂され、市町村によるがん検診事業としてバリウム検査ではなく内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途がある検査(胃カメラ口もしくは鼻から小さいカメラを胃まで進めて、胃の中の状態を見る検査。「上部消化管内視鏡検査」とも呼ばれる)を行うことも選択肢のひとつとして推奨されることとなりました。

この改訂はバリウム検査を縮小する方向性も示しています。

胃がん検診は改訂前には40歳以上の人を対象としていましたが、改訂後には50歳以上を対象とし、バリウム検査は例外的に「当分の間、40歳以上の者を対象としても差し支えない」としています。

検診の回数についても、改訂前に胃がん検診は年1回としていましたが、改訂後には原則として2年に1回、バリウム検査は「当分の間、胃部エックス線検査を年1回実施しても差し支えない」としています。

がん検診と一口に言ってもいろいろな方法があります。方法によってそれぞれ良い面と悪い面があります。選べる方法の間で特徴を比較して、自分に合ったものはどれかを考えたうえで検診を利用してください。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

The Association Between Barium Examination and Subsequent Appendicitis: A Nationwide Population-Based Study.

Am J Med. 2017 Jan.

[PMID: 27555093]

*本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]