肺炎で入院したら体を鍛えよう!筋トレで生活の質も改善
肺炎で入院になると体力が落ちてしまい、特に高齢者では退院後の生活にも影響が出やすくなります。入院中のリハビリとして身体トレーニングをした人で生活の質が向上したことが報告されました。
肺炎で入院したあとのリハビリの研究
リハビリ専門誌『Journal of Physiotherapy』に報告された研究を紹介します。
この研究では、もともと入院せず生活していて、肺炎で入院になった患者49人が対象になりました。
対象者の年齢は主に30歳から80歳ごろでした。
対象者はランダムに2グループに分けられ、入院中にグループごとに違う内容のリハビリに割り当てられました。
- 身体トレーニングのグループ
- ウォーミングアップ
- ストレッチ
- 末梢筋力トレーニング
- 決められたスピードで歩く
- 呼吸
理学療法 のグループ- 排痰パーカッション(胸を叩いて痰を出す方法)
- 排痰バイブレーション(胸に振動を与えて痰を出す方法)
- 呼吸筋運動
- 自由に歩く
リハビリの効果を見るため、2種類のテストが行われました。
- Glittre ADLテスト
- 椅子から立ち上がる、歩くなど、決められた動作をするための時間を測る
- 漸増シャトルウォーキングテスト
- 速さを少しずつ変えて10mずつ繰り返し歩き、歩き続けられた合計距離を測る
身体トレーニングをしたほうが生活の質がよくなった
次の結果が得られました。
対照群よりも実験群のほうが大きい改善が、Glittre ADLテスト(平均群間差39秒、95%信頼区間20-59)、漸増シャトルウォーキングテスト(平均群間差130m、95%信頼区間77-182)において見られた。
QOL 、呼吸困難、末梢筋力においても対照群より実験群で有意 に大きな改善が見られた。
Glittre ADLテスト、漸増シャトルウォーキングテストともに、身体トレーニングをしたグループのほうが成績が大きく改善しました。また、生活の質(QOL)の評価も身体トレーニングのグループのほうが大きく改善しました。
まとめ
身体トレーニングによって生活の質が向上する結果が得られました。肺炎で入院してからの回復のために身体トレーニングには大切な役割がありそうです。
入院で問題になりやすいこととして、廃用症候群があります。廃用症候群とは体を使わないことによって機能が落ちていくことです。入院の理由になった病気にもよりますが、なるべく早い時期からリハビリを始め、早くベッドを離れるのが一般には良いこととされます。
この研究では高齢者も参加しています。高齢者は肺炎が重症になりやすく、特に対策が重要です。
執筆者
Inpatient rehabilitation improves functional capacity, peripheral muscle strength and quality of life in patients with community-acquired pneumonia: a randomised trial.
J Physiother. 2016 Apr.
[PMID: 26996093]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。