◆片頭痛に鍼治療がなぜ必要なのか?
片頭痛は繰り返す頭痛の発作が特徴です。痛みがひどい人では仕事や日常生活もできなくなります。
治療にはトリプタン製剤やエルゴタミン製剤、NSAIDsなどさまざまな薬が使われています。しかし、薬の効果にも限界があります。適切な治療をしても長年発作が消えない人もいます。薬を長く使い続ける中では使いすぎによる薬物乱用頭痛にも注意が必要です。
薬だけでは片頭痛を十分に治療できない人が実際にいます。
◆2016年4月までの研究を収集
ここで紹介する研究は、文献を集める方法により、最新の研究状況とこれまでに得られた結果をまとめたものです。
研究班は最新で2016年4月までの範囲を参照して文献データベースを検索し、片頭痛に対する鍼治療の研究報告を集めました。
◆鍼が薬より有効
集まったデータを統合し、次の結果が得られました。
鍼治療を受けた参加者のうち41%で、頭痛の頻度は半分以下になったのに対して、鍼治療なしの参加者では17%であり(プールしたリスク比2.40、95%信頼区間2.08-2.76、4件の研究、2,519人の参加者)、得られた有益なアウトカムに対応するNNTBは4(95%信頼区間3-6)だった。統計的異質性は示されなかった(I2=7%、中等度の質のエビデンス)。
鍼治療を受けた人と受けなかった人を比較した研究では、鍼治療を受けた人のうち41%で頭痛の頻度が半分以下になっていました。対して鍼治療を受けなかった人は17%で頭痛の頻度が半分以下になり、鍼治療で短期的に頭痛の頻度を減らす効果があると見られました。
鍼と薬を比較した研究のデータから、次の結果が得られました。
鍼による治療後は、薬物による予防よりも大幅に、片頭痛の頻度が減少した(標準化平均差-0.25、95%信頼区間-0.39から-0.10、3件の研究、739人の参加者)[...]。
鍼治療を受けた試験参加者は、予防薬を処方された参加者よりも有害作用のために離脱することが少なく(オッズ比0.27、95%信頼区間0.08-0.86、4件の研究、451人の参加者)、有害作用を報告することも少なかった(オッズ比0.25、95%信頼区間0.10-0.62、5件の研究、931人の参加者)(中等度の質のエビデンス)。
鍼治療によって、短期的には薬を使うよりも片頭痛の頻度を減らせると見られました。副作用にあたる有害な出来事の頻度は、薬を使うよりも鍼治療のほうが少なくなっていました。
鍼治療は実際の医療でもさまざまな場面で使われ、痛みを和らげる役に立っています。効果と副作用のデータがしっかりまとめられていることで、安心して治療を受けるために役立ちます。
執筆者
Acupuncture for the prevention of episodic migraine.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jun 28.
[PMID: 27351677]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。