◆1歳から4歳の一見正常な子供は検査するべき?
カナダ予防ヘルスケア作業部会(CTFPHC)が2016年3月に発行した、発達の遅れのスクリーニング(症状がない人を含めて広い対象者全員から病気を見つけ出す検査をすること)についてのガイドラインを紹介します。
ガイドラインの対象は、1歳から4歳で発達の遅れを指摘されたことがなく、両親と主治医が発達の遅れについて特定の懸念を示したこともない子供とされました。
ガイドラインの著者らは、これまでに行われた質の高い研究からデータを集めて推奨をまとめました。
◆検査をしても結果につながらない
見つかった研究データから、次の結果が得られました。
- 1歳から4歳で、明らかな症状が出ていない子供に発達の遅れのスクリーニングを行っても、良い結果につながったという強い証拠は出ていない。
- 自閉症スペクトラム障害に関連する場合を含めて、発達の遅れが認められた1歳から6際の子供に治療を行った結果、学校の成績、運動技術、メンタルヘルス、生活の質(QoL)、生存率、成人時の機能のどれかが改善したという報告はない。
- 本当は発達の遅れがないのに検査で発達の遅れありと判定されてしまう割合は、検査方法によって16%-22%、または36%。
これらの結果から、ガイドラインは次のように勧めています。
我々は、1歳から4歳で明らかな発達の遅れの所見がなく、両親と主治医が発達に対して懸念を持っていない子供に対して、標準化されたツールを使って発達の遅れのスクリーニングを行わないことを勧める。
1歳から4歳で発達の遅れが明らかに疑われていなければ、発達の遅れの検査はしないほうがよいという推奨です。
子供の成長には、両親と主治医がよく観察していることが検査よりも大切だと解釈できるかもしれません。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。