◆慢性腰痛に対する治療法
今回の研究は、文献データベースより過去の論文を集める方法で行われました。腰痛に対する、薬物療法、心理療法、鍼灸、運動療法、マッサージ、徒手療法などの効果を調べた研究が調査の対象とされました。合計156件の論文が集められ、検証されました。
◆慢性腰痛には薬物療法、運動療法、心理療法などの様々な治療法が効果的
集めた論文の中で、次の結果が得られました。
慢性腰痛に対する治療法で、偽薬効果、偽治療、治療なし、通常治療、治療待ちのリストに載っている人に比べて、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド、トラマドール、デュロキセチン、集学的リハビリテーション、鍼、運動療法が中程度のエビデンスレベルで、そして、ベンゾジアゼピン系薬、心理療法、マッサージ、ヨガ、太極拳、低出力レーザー治療が低いエビデンスレベルで効果的であると示された。脊椎徒手療法も他の治療法と同様な効果があることが中程度のエビデンスレベルで示された。
解熱・鎮痛・抗炎症作用を持つ非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、オピオイドという種類の鎮痛薬、抗うつ薬のひとつであるデュロキセチンなどの薬物療法が慢性の腰痛に効果的であるという結果でした。その他の治療法では、鍼治療、運動療法、様々な治療法を組み合わせた集学的リハビリテーション、心理療法、マッサージ、ヨガ、太極拳、低出力レーザー治療や徒手療法が効果的であるという事が報告されていました。
治療によって重大な副作用や事故が増えることを報告した研究はありませんでした。
慢性的な腰痛は、日常の様々な場面に悪影響をもたらし、生活の質が下がってしまう要因にもなります。今回の研究から、慢性腰痛には様々な治療法が効果的であることが確かめられました。ここに挙がった治療に効果があることは何らかの科学的な証拠があると言えます。治療の選択肢を考えるうえで参考にされるかもしれません。
執筆者
Noninvasive Treatments for Low Back Pain.
Effective Health Care Program. 2016 Feb.
https://www.effectivehealthcare.ahrq.gov/ehc/products/553/2178/back-pain-treatment-report-160229.pdf※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。