肩の痛みを起こす「石灰性腱炎」に衝撃波と内部洗浄ではどっちが効く?
40-50歳代の女性に多い石灰性腱炎は、痛くて夜も寝られない、肩が挙げられないという症状があります。検査では肩の関節に石灰が沈着している様子が見られます。治療に使われる体外衝撃波と皮下洗浄の効果を比較した研究を紹介します。
◆201人 の治療で比較
スペインのマドリードにある病院で2007年1月から2013年12月に治療を受けた患者を対象に行われた研究です。
体外衝撃波は以前から腎臓結石を粉砕する治療として確立されて、近年整形外科にも応用されている治療法です。あくまで体外から衝撃を与えるだけなので副作用も少ないのが特徴です。
一方、超音波ガイド下経皮洗浄は超音波で肩内部の状態を映像化し、ピンポイントで注射針を入れて石灰化した部位を洗い流す治療法です。
対象となった患者をランダムに2つのグループに分け、体外衝撃波治療を受けるグループ80人と超音波ガイド下皮下洗浄治療を受けるグループ121人としました。治療開始から3, 6, 12ヶ月後を追って痛みと石灰化の量を比較しました。
◆皮下洗浄治療のほうが痛みが減少
結果、「両方の治療方法とも石灰性腱炎に効果的であったが、超音波ガイド下皮下洗浄治療の方がより石灰化の量を減らし、痛みも減少させた。」ということです。
比較的新しい衝撃波治療に比べて、30年以上前から行われている皮下洗浄治療。私達は新しいものに目を奪われがちですが、古いものでも良いものは良いということをこの研究は教えてくれているのではないでしょうか。
執筆者
Extracorporeal shockwaves versus ultrasound-guided percutaneous lavage for the treatment of rotator cuff calcific tendinopathy: a randomised controlled trial.
Eur J Phys Rehabil Med. 2015 Sep 10. [Epub ahead of print]
[PMID: 26365144]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。