2016.04.05 | コラム

五十肩のストレッチとは?

痛み・可動域の改善を図る治療
五十肩のストレッチとは?の写真
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この記事のポイント

1. 五十肩のストレッチの目的は?
2. 五十肩のストレッチ(肩周りを中心に)
3. 五十肩に対してストレッチ以外の理学療法はあるか

五十肩のストレッチは、肩の痛みや動かしにくさを改善する狙いで行われます。肩の周りの筋肉を伸ばすなどの方法があります。この記事では五十肩のストレッチ方法について解説します。

◆五十肩のストレッチの目的は?

五十肩という言葉にはあいまいな点もありますが、50歳前後で肩周辺の痛みや動かしにくさが現れていて、目に見える原因を特定できない状態を指します。四十肩と呼ばれる場合もあります。

五十肩には、肩の筋肉や腱、関節包などの炎症が関与しています。炎症が最も多く起こる場所は、「腱板」と呼ばれる場所です。腱板は、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋という4つの筋肉が集まって、上腕骨(肩から肘までの骨)を体幹につないでいる組織です。腱板は肩関節を動かす動作に関わっています。

五十肩に対するストレッチは、腱板などの筋肉をほぐしたり伸ばしたりすることで、肩の痛みや動く広さを改善することを狙います。

ただし、五十肩は症状が始まってからの時期などによって、肩を少し動かすだけでも激しく痛む場合があります。そのためストレッチも含めて「動かさないほうがよい」と判断されることがあります。自分がストレッチをしたほうがいい状態かどうかは医師や理学療法士に相談してください。

では、肩周りのストレッチにはどのような方法があるのでしょうか。

 

◆五十肩のストレッチ(肩周りを中心に)

五十肩の改善を図って行われる、肩周りのストレッチを紹介します。

 

◎振り子運動(コッドマンの振り子体操)

振り子運動は、筋肉の緊張を取り除いた状態で行い、肩関節の周りの筋肉をほぐす体操です。

机や椅子を支えにして両足を肩幅くらいに広げて立ち、腰を曲げます。痛みのある方の腕で1.0kg程度の錘(おもり)をもち(痛みがあり錘が持てない場合は、何も持たなくても構いません)、身体を揺らします。徐々に肩関節の動く範囲を広げるように、前後・左右に動かします。

 

◎肩を曲げる

仰向けになり、痛い方の手を痛くない方で持ちます。肘を伸ばしたまま、ゆっくりと頭の方まで持ち上げ、またゆっくりと元に戻します。動かしている途中で痛みが生じたら、無理して大きく動かそうとせず元に戻してください。この運動は、肩甲骨の裏側につく筋肉を伸ばすことが出来ます。

 

◎腕をひねる

痛い方の腕を下に横向きになり、腕を前に出して肘を90°に曲げます。てのひらを足の方に向け、肘を軸にして手で弧を描くようにゆっくり動かします。この体操によって、肩甲骨の外側についている筋肉を伸ばすことが出来ます。肩甲骨の外側につく筋肉は、肩のインナーマッスルとして知られており、肩がスムーズに動くためには欠かせません。

 

◎手を背にまわす

五十肩になると、髪をしばったり、エプロンの紐をしばるなど、背部での動作がしにくくなることがあります。この動きを改善させるために、手を背にまわして行うストレッチがあります。背もたれのない椅子に座り、手を腰の辺りで組みます。痛い方の手を痛くない方で持ち、ゆっくりと肘を曲げたり伸ばしたりします。

このようなストレッチは、少しでも動かすと肩が痛む時期には禁物です。肩を動かすと激痛がある場合は、出来るだけ肩を動かさないようにする必要があります。ストレッチは、一度に長時間行うよりも、短時間で良いので、一日に何回か繰り返し行う方が良いと言われています。

 

◆五十肩に対してストレッチ以外の理学療法はあるか

ストレッチの他にも、いくつかの理学療法の効果が知られています。理学療法は、運動などの物理的手段による治療です。五十肩に対する理学療法の例として、関節モビライゼーションや固有受容性神経筋促通法(PNF)があります。

 

五十肩で運動療法を考える際には、動かした方がよい時期と動かさない方がよい時期、どの程度動かすことができるかなど、慎重な判断が必要です。判断を誤るとかえって五十肩の痛みを悪化させる原因にもなりかねません。医師や理学療法士などの説明を聞いて、適切なリハビリの方法を相談してください。

 

注:この記事は2016年4月5日に公開されましたが、2018年2月13日に編集部(大脇)が更新しました。

執筆者

NK

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。