◆ パーキンソン病患者のメタボリックシンドロームと転倒の関係は
194名のパーキンソン病患者が対象となりました。一年間での転倒歴、転倒した回数、メタボリックシンドロームの診断の有無が調べられました。
◆ メタボリックシンドロームだと、転倒発生が少ない
以下の結果が得られました。
91名によって転倒が記録された(47%)。ロジスティック回帰分析にてメタボリックシンドロームは転倒発生の減少と関連する(オッズ比= 0.26:95% 信頼区間 = 0.10-0.690:P = .007)ことが見られた。また、転倒した参加者の中で、ポアソン回帰分析にてメタボリックシンドロームは転倒の回数の減少を予測することを示した(発生率比 = 0.43:95%信頼区間= 0.20-0.89:P =0.024)。
メタボリックシンドロームだと転倒の発生が少ないということが示されました。この理由については、研究班は明確な結論を示していません。
メタボリックシンドロームがある人には糖尿病や肥満と関係する悪影響があるはずだ、と考えると、一見逆方向とも思える結果が示されました。
この結果はどう説明できるでしょうか。実はメタボリックシンドロームにはいい影響があったのでしょうか。それともメタボリックシンドロームがある人は日常生活であまり動かないため、転倒が少ないのでしょうか。
この結果だけではどの説明が正しいかを決めるのは難しそうですが、メタボリックシンドロームとパーキンソン病について今後の研究からさらに理解が進めば、うまく説明できるかもしれません。
執筆者
Association of metabolic syndrome with falls in patients with Parkinson's disease.
Clin Nutr. 2016 Feb.
[PMID: 26907583]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。