アトピー性皮膚炎と汗の関係について

アトピー性皮膚炎は、痒みを伴う湿疹を特徴とする病気です。その症状に影響する要素が生活環境の中にあり、汗もそのひとつですが、汗と症状の関係については紛らわしい点があります。アトピー性皮膚炎と汗の関係を解説します。
アトピー性皮膚炎は、アトピー素因と呼ばれる体質の要素などを背景として、皮膚バリア機能の低下、
症状としては、強いかゆみや湿疹があります。かゆみで皮膚を掻き壊すことから
アトピー性皮膚炎によるかゆみの症状は、環境の要因で変動する場合があります。その中のひとつが、汗です。汗はかゆみに関係しています。しかし、「アトピー性皮膚炎があったら汗をかいてはいけない」とは言えません。少し複雑ですが説明します。
まず、汗には体温調節、感染から身を守る、肌の保湿などの機能があります。さらに、発汗自体がアトピー性皮膚炎を悪化させるという明確な証拠はありません。そのため、アトピー性皮膚炎があっても発汗を避けようと努力する必要はありません。
ところが、汗をかいてそのままにしておくと、皮膚に違った影響が出ることがあります。アトピー性皮膚炎に対しては、かゆみが引き起こされるという報告があります。さらに、汗をかく季節に水道水のシャワーを浴びることで症状が軽くなったという報告もあり、汗をかいたら洗い流すことが適切と考えられます。
アトピー性皮膚炎と汗の関係は、一言で言えば「汗をかくことが悪いのではなく、汗をかいた後にそのまま放置しておくことが悪い」ということです。
アトピー性皮膚炎は、ほかにも食べ物やハウスダストなど、生活の中で触れるアレルギーの原因物質(
汗だけにこだわるのではなく、適切な治療薬や保湿・スキンケアを使ったうえで、生活の中でどんな点に注意するべきかは個別に主治医とよく相談することが大切です。
注:この記事は2016年3月27日に公開しましたが、2018年2月22日に編集部(大脇)が更新しました。
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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。