◆70歳以上で運転する人
研究班は、アラバマ州北中部に住む70歳以上で自動車を運転している人2,000人を対象に、直前5年間で過失による自動車衝突事故があったかを調べました。あわせて視覚の検査を行い、視覚の状態と事故の頻度に関連があるか、統計解析により検討しました。
◆緑内障、左視野障害で事故増
次の結果が得られました。
緑内障のある運転者(206人)は、緑内障がない人と比較して、年齢と精神状態で調整したのち、自動車衝突事故の率が1.65倍高かった(95%信頼区間1.20-2.28、P=0.002)。
視野を6領域に分割して(上、下、左、右の視野と水平線、垂直線)検討した場合、左、上、下の視野障害は自動車衝突事故の率が高いことと関連し、左視野の障害がほかの領域と比べて最も高い率比を示した(3.16、P=0.001)。
緑内障がある人で、5年以内に事故を経験していた人が多くいました。また、視野の左の部分がよく見えない人で、事故が多くなっていました。
緑内障では視野の中に見えない部分ができ、進行すると失明にもつながります。しかし、徐々に進行するため、視野がかなり狭くなるまで症状に気付かないことがあります。この研究が行われたアラバマ州では自動車は右側通行なので、左視野が見えにくいのに運転を続けていると、対向車線などの確認に問題があったのかもしれません。
事故防止のためには健康状態との関係も大切な要素です。
執筆者
Association between Glaucoma and At-fault Motor Vehicle Collision Involvement among Older Drivers: A Population-based Study.
Ophthalmology. 2016 Jan.
[PMID: 26459997]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。