2016.02.07 | ニュース

「人食いバクテリア」で死亡した人に多い体型、生活習慣病とも関係?

アメリカ2,927人の特徴

from Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America

「人食いバクテリア」で死亡した人に多い体型、生活習慣病とも関係?の写真

救命できない場合も多く、「人食いバクテリア」として恐れられている侵襲性A群溶連菌感染症(壊死性軟部組織感染症)は、健康な人にも突然起こります。どんな特徴のある人に発症や死亡が多いのかが検討されました。

◆肥満、糖尿病に関係は?

研究班は、アメリカの調査データを使い、18歳以上で侵襲性A群溶連菌感染症が起こった2,927人を、人口全体と比較しました。年齢、性別などのほか、肥満や糖尿病によって発症の頻度に違いがあるかを、統計解析により検討しました。

 

◆糖尿病で発症増、肥満で死亡増

次の結果が得られました。

糖尿病はすべての人種集団において侵襲性A群溶連菌のリスク増加と関連した(調整リスク比の範囲は2.71から5.08)。

グレード1から2(30.0≦BMI<40.0)とグレード3の肥満は死亡のオッズの増加と関連した(グレード1から2でオッズ比1.55、95%信頼区間1.05-2.29、グレード3でオッズ比1.62、95%信頼区間1.01-2.61)。

糖尿病がある人では侵襲性A群溶連菌感染症の発症が多く、BMI(体重÷身長の2乗)が30以上の肥満がある人では、死亡が多くなっていました

研究班は「これらの結果はA群溶連菌に対して開発中のワクチンの狙いを絞るために役立つかもしれない」と述べています。

 

A群溶連菌は、普通の環境にいるありふれた細菌で、人間に感染してもほとんどの場合は重い症状を起こしません。肝硬変やがんの影響で特に免疫が弱くなっている人は危険性が高いとも言われますが、なぜ突然急激な感染症を起こすのか、原因はわかっていません。

ここで報告されたような関係から、特に注意が必要な人を見分けることができれば、万一のとき救命の役に立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The Impact of Obesity and Diabetes on the Risk of Disease and Death due to Invasive Group A Streptococcus Infections in Adults.

Clin Infect Dis. 2015 Dec 23. [Epub ahead of print]

[PMID: 26703865]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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