心臓が止まる「高カリウム血症」を治療、イオン交換樹脂の効果は?
慢性腎臓病で腎臓の状態が悪くなると、血液にカリウムが多くなり、不整脈による突然死の危険性が高くなると言われています。ポリスチレンスルホン酸ナトリウムはその治療に古くから使われていますが、改めて効果を確かめる研究が行われました。
◆軽度の高カリウム血症を治療
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、イオン交換樹脂と呼ばれる種類の物質で、カリウムイオンを吸着して代わりにナトリウムイオンを放出する性質があります。薬として飲むことで、食べ物に含まれているカリウムを吸着し、血液中に吸収されないようにする効果が期待されています。
この研究では、慢性腎臓病の患者で、軽度の高カリウム血症(血液にカリウムが多い状態)がある人33人が対象となりました。対象者はポリスチレンスルホン酸ナトリウムを飲むグループと、偽薬を飲むグループにランダムに分けられ、7日間の治療後に血中のカリウム濃度を比較されました。
◆カリウム値が低下
次の結果が得られました。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、血清カリウム値を減少させる効果が偽薬に勝っていた(群間の平均差-1.04mEq/l、95%信頼区間-1.37から-0.71)。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを飲んだグループのほうが、血中のカリウムが少なくなりました。副作用として、胃腸症状が見られました。
高カリウム血症は、突然死の原因にもなる、非常に危険な状態です。慢性腎臓病の治療では
古くから考えられてきたとおりの効果が本当にあるのか、また副作用をどう考えるかといった議論の中で、こうした研究により実際のデータを残すことには大切な意義があります。
執筆者
Randomized Clinical Trial of Sodium Polystyrene Sulfonate for the Treatment of Mild Hyperkalemia in CKD.
Clin J Am Soc Nephrol. 2015 Dec 7.
[PMID: 26576619]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。