◆乳がんがなかった人どうしを比較
この研究は、ある時点で乳がんがなかった人が、そのときマンモグラフィーで陽性(乳がんの疑いあり)とされるか、陰性(乳がんの疑いなし)とされるかによって、その後乳がんが発生する頻度に違いがあるかを調べました。
研究班は、アメリカで行われた長期追跡調査による1994年から2009年のデータを使い、マンモグラフィーを受けた40歳から74歳の女性の経過を調べました。マンモグラフィーが陽性だったが乳がんが発見されなかった人(偽陽性)と、マンモグラフィーが陰性で乳がんが発見されなかった人(真陰性)を比較して、その後の乳がんの発生率を解析しました。
◆偽陽性だとその後10年間の発生が多い
次の結果が得られました。
乳がんの発症リスクは、真陰性の検査結果があった女性に比べて、偽陽性であり追加の画像検査が勧められた女性(調整ハザード比1.39、95%信頼区間1.35-1.44)、偽陽性であり追加の生検が勧められた女性(調整ハザード比1.76、95%信頼区間1.65-1.88)で増加していた。
偽陽性の検査結果があった女性は、偽陽性だった検査の10年後まで継続して、乳がん発症のリスクが増加していた。
乳がんがなかった人の間でも、マンモグラフィーが陽性だった人では、陰性だった人よりも乳がんの発生が多くなっていました。この差は偽陽性だった検査の10年後まで見られました。
マンモグラフィーの結果は、その時点ではがんではない偽陽性だったとしても、がんに移行しうる状態を指摘している場合があるのかもしれません。
執筆者
Increased Risk of Developing Breast Cancer after a False-Positive Screening Mammogram.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2015 Dec
[PMID: 26631292]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。