乳児の細気管支炎にヘリウムと酸素の混合ガス吸入が有効?

細気管支炎は、乳幼児に多く見られ、RSウイルスなどのウイルス感染により、鼻汁、呼吸困難などの症状を引き起こします。今回の研究では、乳幼児の細気管支炎に対する治療法として、ヘリウムと酸素の混合ガスを吸入した効果を検証しました。
◆細気管支炎にヘリオックスは有効か?
細気管支炎は重症化すると、呼吸がしづらくなり、フェイスマスクなどを使った酸素吸入が必要になります。ヘリウムと酸素の混合ガスであるヘリオックスは、呼吸がしづらい患者に対して、スムーズに酸素を届けることができると言われています。
今回の研究では、過去の7つの研究をまとめて、乳幼児の細気管支炎に対するヘリオックスの効果を検証しました。
◆ヘリオックスは呼吸困難があった場合の治療期間はわずかに短くする
分析の結果、ヘリオックスが小児集中治療室への入院中に使われた場合に気管挿管が必要になった割合、救急科で使われた場合の退院率には影響は見られませんでした。
しかし、以下の場合においては、わずかな効果が認められました。
しかしながら、重度の呼吸困難により、経鼻CPAPを開始から行っていた乳児のサブグループにおいては、ヘリオックス治療は治療期間を短縮した(平均差-0.76日、95%信頼区間-1.45から-0.08、1試験、乳幼児21人、低い質の根拠)。
重度の呼吸困難があり鼻から酸素を送っていた場合では、ヘリオックス治療により治療期間が短縮したという結果でした。また、ヘリオックスによる副作用は報告がありませんでした。
今回の研究結果から、乳幼児の細気管支炎に対してヘリオックス治療がどのような場合に適切なのか、検討するための手掛かりが得られるかもしれません。
執筆者
Heliox inhalation therapy for bronchiolitis in infants.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 18
[PMID: 26384333]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。