2015.08.20 | ニュース

かぜの原因RSウイルスの予防接種へ、2種類のワクチン

42人の第1相試験

from Science translational medicine

かぜの原因RSウイルスの予防接種へ、2種類のワクチンの写真

RSウイルスはかぜの原因になるだけでなく、乳児の細気管支炎を起こすこともあります。治療は対症療法にとどまり、ワクチンはありません。新たに開発された2種類のワクチンが、試験で安全性と有効性を示したことが報告されました。

◆アデノウイルス、ワクチニアウイルスをもとに作成

研究班は、RSウイルスの感染を予防するワクチンとして、アデノウイルスをもとに作ったワクチン(PanAd3-RSV)、ワクチニアウイルスをもとに作ったワクチン(MVA-RSV)の2種類の安全性と有効性を調べました。

健康な42人の対象者がワクチンの注射を受け、副作用がないか、また免疫の反応があるかを調べられました。

 

◆安全性に問題なく、免疫反応あり

安全性について次の結果が得られました。

ワクチンは安全で、よく忍容され、最も多く報告された有害事象は軽度の注射部位反応だった。ワクチン関連の深刻な有害事象は起こらなかった。

副作用の可能性があることとして最も多かったのは、注射した場所の皮膚に起こる軽度の反応であり、深刻な副作用はありませんでした

効果については次の結果が得られました。

RSウイルスの中和抗体量は、PanAd3-RSVの筋肉注射によるプライムに反応して、また鼻内ワクチンによるプライムを受けた人が筋肉注射によるブーストを受けたあとで上昇した。

RSウイルス特異的T細胞応答は、PanAd3-RSVの筋肉注射によるプライムのあとで増加し、MVA-RSVの筋肉注射によって最も有効にブーストされた。

PanAd3-RSVについても、MVA-RSVについても、免疫反応を起こす効果が見られました

 

RSウイルスは非常に多くの人に感染してかぜの症状を起こすほか、乳幼児に感染すると重症化して入院が必要になることも多く、新しい対処法ができれば大きな成果に結びつくかもしれません。

ここで試されたワクチンが実際に病気を防げるかを知るにはまだクリアするべき段階がありますが、未来に向けた期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Chimpanzee adenovirus- and MVA-vectored respiratory syncytial virus vaccine is safe and immunogenic inadults.

Sci Transl Med. 2015 Aug 12

[PMID: 26268313]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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