◆ステロイド薬の使用と股関節の手術後の状態の関連を検証
今回の研究では、人工股関節全置換術を行った402人を含む1608人を対象に、ステロイド薬の使用と術後の再入院、静脈血栓症の発症、人工股関節の再手術との関連を検証しました。
◆ステロイド薬を使用している人は術後の再入院、再手術をしている人が多い
以下の結果が得れました。
術後30日時点(オッズ比1.45、95%信頼区間1.14-1.85、p=0.003)、90日時点(オッズ比1.37、95%信頼区間1.09-1.73、p=0.007)での再入院は、副腎皮質ステロイドの使用者でより多かった。
術後12ヶ月での人工関節の再手術は、副腎皮質ステロイドの使用者で多かったが(オッズ比2.49、95%信頼区間1.35-4.59、p=0.004)、24ヶ月では有意でなかった(オッズ比2.04、95%信頼区間1.19-3.50、p=0.010)。
ステロイド薬を使用している人は術後の再入院、再手術をしている人が多いという結果でした。
ステロイド薬の使用と再入院や再手術との関連について、どのようなメカニズムであるかは不明です。例えば、ステロイド薬の長期的な使用を行っている人は、副作用により骨粗鬆症になりやすいと言われていますが、手術後の骨の状態にも何らかの悪影響を及ぼした可能性も考えられます。メカニズムは不明ですが、再入院や再手術を予防するうえで、少しのヒントにはなるかもしれません。
執筆者
Does Chronic Corticosteroid Use Increase Risks of Readmission, Thromboembolism, and Revision After THA?
Clin Orthop Relat Res. 2015 Nov 9
[PMID: 26552804]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。