ビタミンDが多すぎると変形性股関節症に悪影響?人工股関節置換術との関連

ビタミンDは骨の維持に深く関係すると考えられ、骨折との関連がしばしば議論されます。オーストラリアの研究班は、ビタミンDと変形性股関節症の関係に注目しました。ビタミンDの検査値と、変形性股関節症による手術の関連を調べたところ、男性ではビタミンDが多いほうが手術が多いという結果が出ました。
◆40歳以上の男女の調査から
研究班は、オーストラリアの40歳以上の男女9,135人を対象に、血中の
25(OH)Dの量は1999年から2000年の検査で得られた値を、人工股関節置換術は2002年から2011年に行われた手術を解析の対象としました。
◆25(OH)Dが多いほうが手術が多い
解析から次の結果が得られました。
平均9.1年(標準偏差2.7)のフォロー期間に、変形性股関節症による201件(男性90件、女性111件)の人工股関節置換術が行われた。男性では、25(OH)Dの標準偏差分増加は25%増加と関連し(ハザード比1.25、95%信頼区間1.02-1.56)、用量反応関係は25(OH)D濃度の四分位において確認された(トレンドに対してP=0.04)。
男性に限って、25(OH)Dが多い人ほど変形性股関節症による人工股関節置換術を受けている割合が大きくなっていました。
ビタミンDは、骨折を防ぐ方向に働くと言われることがありますが、もし変形性股関節症に悪影響があるなら、全体としてどの程度の量が最適なのかは複雑な議論になるかもしれません。
ただし、この研究の方法では対象者の背景に未知の要因があり、何かの原因が25(OH)Dを増やす一方で変形性股関節症に悪影響を与えていた可能性も否定できません。25(OH)Dを増やしうる要因は何かについて考えることには意義があるかもしれません。
なお、ビタミンDと骨折の関係についてはほかの研究も紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
「子どものビタミンD不足は骨折と関係するのか?重症度と血中25(OH)Dの関連」
http://medley.life/news/item/559a540163916c4d01a83d1d
「カルシウムサプリメントを飲んでも意味はない?」
執筆者
Association between serum concentration of 25-hydroxyvitamin D and the risk of hip arthroplasty for osteoarthritis: result from a prospective cohort study.
Osteoarthritis Cartilage. 2015 Jun 17 [Epub ahead of print]
[PMID: 26093211]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。