2015.11.13 | ニュース

脳梗塞の救急治療で、血管内治療は有効か?

8つのランダム化比較試験をメタ解析
from JAMA
脳梗塞の救急治療で、血管内治療は有効か?の写真
(C) reineg- Fotolia.com

脳梗塞には、発症後数時間以内にtPAという薬で血管内にできた血の塊(血栓)を溶かす方法がありますが、血管内治療という方法も現われています。今回、カナダの研究班が2,423名のデータを解析し、血管内治療の有効性を示す結果を報告しました。

◆血管内治療

血管内治療では、血栓の起こっている脳の中の血管に末梢動脈から長く細い管(カテーテル)を入れゆき、血栓を壊して吸収します。使うデバイス(道具)が重要で、開発に工夫がこらされてきました。一時「効果がないのでは」という見方もありましたが、デバイスや技術の進歩で、2014年から2015年にかけてポジティブな臨床研究結果がたてつづけに発表されてきています。

 

◆2,423名のデータを解析

研究班は、すでに行なわれた8つの研究の結果を総まとめにして、血管内治療を受けた1,313名と、tPAの使用を含む標準治療を受けた1,110名のデータを比較解析しました。

 

◆血管内治療の有効性を示す結果

その結果、血管内治療は脳梗塞のどの重症度レベルの場合でも、治療後の重症度を改善するために有益であり、90日後での機能的自立(日常生活が一応可能)度も高く(リスク差12%)、また24時間以内の血行再建率も有意に高いという結果でした。一方、90日後の頭蓋内出血の発生率・総死亡率は、標準治療と変わりませんでした。

 

このような肯定的な総括は他にも出ており、古いネガティブな試験結果が新しいポジティブなものによって打ち消される、という興味深い現象が起きています。さらに、より新しいデバイスも試行されており、血管内治療がtPA治療を置き換えてゆく可能性があります。ただ、この新手法でも、標準法と同じようにどれだけ早く治療できるかが鍵で、利点を活かすためには救急システム・中央病院体制の整備が不可欠と考えられます。

参考文献

Endovascular Thrombectomy for Acute Ischemic Stroke: A Meta-analysis.

JAMA. 2015 Nov 3

[PMID: 26529161]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。