発熱のあと、手足の麻痺が…4歳男児を襲った「急性弛緩性麻痺」とは?
ポリオのように手足が麻痺して動かなくなるなどの症状が、エンテロウイルスD68の感染によって起こることが疑われ、日本小児科学会から会員に調査協力依頼が出されています。ヨーロッパで初めてとされるフランスの患者の例を紹介します。
◆4歳男児、頭痛と嘔吐で発症
2014年に、アメリカでエンテロ
2014年9月22日に受診したこの4歳の男の子は、生来健康でしたが、頭痛と嘔吐の症状から始まり、発熱をともなう髄膜炎の症状が起こっていました。9月26日には呼吸と血液循環の状態が悪化したため
9月27日に、弛緩性麻痺の症状が現れました。検査の結果、
◆何が原因だったのか?
原因を探るため、血液や尿から
この報告よりあとにも、ヨーロッパでエンテロウイルスD68による下気道感染症は子どもを中心に多数報告され、急性弛緩性麻痺が見られた例もあります。また、日本でも急性弛緩性麻痺が見られた患者からエンテロウイルスD68が見つかった例が報告されています。
エンテロウイルスD68の感染を予防するワクチンはなく、手洗いなどの一般的な対策が勧められています。より有効な対策のため、今も調査が行われつつあります。
執筆者
Acute flaccid paralysis following enterovirus D68 associated pneumonia, France, 2014.
Euro Surveill. 2014 Nov 6
[PMID: 25394254]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。