2015.10.31 | ニュース

HIVの研究は誰のためなのか?対象者に女性が占める割合を調査

文献レビューにより検証

from Journal of acquired immune deficiency syndromes (1999)

HIVの研究は誰のためなのか?対象者に女性が占める割合を調査の写真

エイズ(AIDS)を起こすHIV感染症の予防、治療は男女ともに関わる問題です。男性と性交する男性を対象にした研究がある一方で、研究で女性が対象とされる割合が小さいという指摘があります。これまでの研究データについて調査が行われました。

◆予防・治療の研究で女性がどれだけ対象とされたか

研究班は、論文データベースからこれまでの研究を検索し、HIVに対する抗ウイルス薬、ワクチン、またHIV感染の治療法について調べたものを集め、それらの研究の対象とされた女性の人数を集計しました。

 

◆治療法の研究で11%

次の結果が得られました。

女性は抗ウイルス薬の研究(387件)の参加者のうち中央値19.2%、ワクチンの研究(53件)では38.1%、治療の研究(104件)では11.1%を占めた。

ワクチンの研究の半数で、女性の対象者の割合は約38%以下であり、治療法の研究では半数の研究で約11%以下でした

研究班はこの結果から「女性はHIVとともに生きている人々の半数近くを占めるにもかかわらず、臨床試験においては代表者が過少の状態が続いている」と結論しています。

 

女性に対して有効なHIV感染症の対策を検討するために、女性を対象とした研究がさらに必要とされているのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A systematic review of the inclusion (or exclusion) of women in HIV research: from clinical studies of antiretrovirals and vaccines to cure strategies.

J Acquir Immune Defic Syndr. 2015 Sep 8 [Epub ahead of print]

[PMID: 26361171]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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