◆皮膚平滑筋腫の痛みを治療
この研究では、一定以上の痛みの症状がある皮膚平滑筋腫の患者18人が対象となりました。対象者はランダムに、A型ボツリヌス毒素の注射を受けるグループと、食塩水の注射を受けるグループに分けられ、4週間の治療前後で痛みを比較されました。
痛みの程度とともに、生活の質(QOL)の評価として、皮膚症状が生活の妨げになるかを聞き取る質問票のDermatology Life Quality Index(DLQI)を使いました。
◆痛みに効果なし、しかしQOL改善
次の結果が得られました。
研究群間で局所の痛みの平均に有意差は見られなかった。
皮膚関連QOLについて、群間でDLQIの総スコア(ボツリヌストキシンに対して中央値-4.00、範囲-8.00から2.00、偽薬に対して中央値0.00、範囲-1.00から4.00、P=0.007)、および特異的皮膚疼痛関連質問(ボツリヌストキシンに対して中央値-1.00、範囲-2.00から1.00、偽薬に対して中央値0.00、範囲-1.00から0.00、P=0.048)有意差が見られた。
ボツリヌストキシンの使用と関連する深刻な有害事象は観察されなかった。
ボツリヌス毒素によって、痛みを抑える効果は確かめられませんでした。しかし、DLQIでの評価は、全体としても、痛みに関係する質問に限っても、ボツリヌス毒素を使ったグループのほうがよくなっていました。深刻な副作用は見られませんでした。
皮膚平滑筋腫を含め、痛みの治療には薬を使う方法のほかさまざまな研究がありますが、通常の治療で効果が得にくい人もいます。ほかの治療に加えて選択肢となりうる治療法が待たれています。
執筆者
Efficacy of Intralesional Botulinum Toxin A for Treatment of Painful Cutaneous Leiomyomas: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Dermatol. 2015 Oct 1
[PMID: 26244563]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。