◆2015年第18週までの研究を集める
ここで紹介する研究は、これまでにボツリヌス毒素による肩の痛みの治療について行われてきた研究報告を集め、内容をまとめたものです。
研究班は文献データベースを検索して、2015年第18週までの報告を集めました。
見つかった219件の文献のうち、採用基準に合った9件から結果をまとめました。
◆痛みが改善、肩が動くように
9件の研究データをまとめ、次の結果が得られました。
解析から、対照群と比べてボツリヌス毒素治療群で痛みスコアが統計的に有意に減少し、平均差は1.35(95%信頼区間0.80-1.91、P<0.001、I(2)=81%)だった。ボツリヌス毒素治療を受けた患者は、対照群の患者に比べて肩外転の可動域が有意に増加することが多く、平均差8.02(95%信頼区間1.17-14.88、P=0.02, I(2)=89%)だった。
ボツリヌス毒素で治療された人では、治療されなかった人よりも平均して痛みが軽くなっていました。
また、治療された人のほうがより多く、肩の外転(腕を横に上げる動き)ができる範囲が広くなりました。
研究班は「[...]ボツリヌス毒素の注射は肩の痛みがある成人患者に対して有益な効果があり、効果は痛みスコアと可動域の改善によって確かめられている」と結論しています。
執筆者
Effectiveness of Botulinum Toxin for Shoulder Pain Treatment: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Arch Phys Med Rehabil. 2015 Dec.
[PMID: 26189200]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。