◆両側の視床下核への刺激による効果を検証
パーキンソン病は、脳の中でドーパミンという神経伝達物質が少なくなることにより症状が起こるとされ、体内でドーパミンに変換されるレボドパという薬を用いて、運動障害を治療することがあります。レボドパは基本的な治療とされ、広く使われていますが、使い続けると効いている時間が短くなる(ウェアリングオフ現象)などの問題も知られています。
今回の研究は、過去に脳の片側への刺激で効果が検証された脳深部刺激法を両側に実施したものです。パーキンソン病患者4人の両側の視床下核(運動の調整を行う部位)に電極を埋め込み、刺激を行っている時と行っていない時の運動能力を比較しました。
◆刺激を行っている間、運動能力が良好
以下の結果が得られました。
UPDRSスコアは、刺激を行っていない時よりも深部脳刺激を行っている時で、43%(p=0.04、Cohenのd=1.62)良好であった。
平均的な刺激時間が45%のみであったにもかかわらず、脳深部刺激による運動機能は改善していた。
両側への刺激を行っている間、刺激を行っていない時よりも運動能力が良好であったという結果でした。
パーキンソン病は、運動の調整がうまくいかないことで、思うように身体を動かせなくなる病気です。また、薬も効きにくくなってしまうことが知られています。 脳深部刺激法はパーキンソン病治療のひとつとして、近年普及してきました。全員が手術の対象となるわけではないですが、今後両側への刺激法も選択されるようになるかもしれません。
執筆者
Bilateral adaptive deep brain stimulation is effective in Parkinson's disease.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015 Sep 30
[PMID: 26424898]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。