2016.04.06 | ニュース

群発頭痛を治療する「深部脳刺激」の効果と副作用は?

21人の治療例から

from Neurology

群発頭痛を治療する「深部脳刺激」の効果と副作用は?の写真

群発頭痛は短期間に繰り返し起こる激しい痛みが特徴です。痛みを抑えるさまざまな治療が研究されています。脳に電気刺激を与える方法で治療した結果が報告されました。

◆脳を電気刺激して頭痛を減らす

ここで紹介する研究は、深部脳刺激という方法で群発頭痛を治療した21人の結果をまとめたものです。深部脳刺激は、脳に手術で電極を植え込み、電気刺激を与える治療法です。パーキンソン病の治療でも使われています。

この研究では、薬物治療で十分に改善せず、長期間に及んでいる群発頭痛の治療として、脳の腹側被蓋野という場所を電気刺激しました。治療後に頭痛の頻度が減るかが評価されました。

 

◆頻度6割減、副作用は?

次の結果が得られました。

最終のフォローアップ時点で、頭痛頻度に60%の改善があり(P=0.007)、頭痛の重症度に30%の改善があった(P=0.001)。

月間トリプタン使用量の群総計は、治療後に57%減少した。

治療後4か月から60か月の追跡がなされ、最後の評価の時点で頭痛の頻度は60%少なくなっていました。頭痛の重症度も軽くなりました。さらに、頭痛の治療薬であるトリプタンの使用量が少なくなりました。

副作用について次の結果がありました。

副作用として複視があったが、2人の患者では刺激量調整後に解消し、患側の滑車神経麻痺の既往があった1人の患者では持続した。そのほかに深刻な有害事象はなかった。

一部の人にものが二重に見える症状が現れ、うち2人は刺激量を調整することで改善しました。

 

群発頭痛は頭痛の中でも特に激しく、また正確な原因はわかっていないため、繰り返し起こる頭痛を確実に予防する方法もありません。新しい治療法が今後の研究から生まれてくるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Ventral tegmental area deep brain stimulation for refractory chronic cluster headache.

Neurology. 2016 Mar 30. [Epub ahead of print]

[PMID: 27029635]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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