2015.10.10 | ニュース
イベルメクチンが疥癬を治療、硫黄に勝る効果
420人のランダム化試験
from Annals of parasitology

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ヒゼンダニの寄生によって起こる疥癬は、強いかゆみなどの症状を起こします。治療には硫黄剤、イベルメクチンなどが使われます。硫黄剤とイベルメクチンの効果を比較する研究が行われました。
◆イベルメクチンまたは硫黄で420人を治療
研究班は、疥癬の患者420人を対象として、対象者をランダムに、イベルメクチンで治療するグループと、硫黄10%軟膏で治療するグループに分けました。3日間の治療の効果を、2週間の時点で調べ、効果が見られないときにはもう一度同じ治療を行ったうえ、研究開始から4週間の時点でも効果を調べました。
◆イベルメクチンで8割治癒
次の結果が得られました。
イベルメクチンの単回使用によって、2週のフォローアップ時点で
治癒 率は61.9%であり、繰り返し治療を行ったのち、4週のフォローアップでは78.5%に増加していた。治療を繰り返したのち、イベルメクチンは4週のフォローアップ時点で硫黄10%軟膏よりも勝っていた。
4週間の時点で、イベルメクチンを使ったグループで硫黄10%軟膏を使ったグループよりも多く、78.5%の人に治癒が見られました。
疥癬は誰にでも感染する恐れがあり、多くの人を悩ませています。イベルメクチンは2015年のノーベル医学生理学賞に選ばれた大村智氏の研究をもとに開発された薬で、疥癬の治療にもこのように貢献しています。
執筆者
参考文献
The efficacy of oral ivermectin vs. sulfur 10% ointment for the treatment of scabies.
Ann Parasitol. 2015
[PMID: 26342502]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。