脳出血後の血圧は最高血圧140mmHg未満を目標にすると重度の機能障害が少ない
脳出血後の血圧管理の重要性について『脳卒中治療ガイドライン2015』に記載されています。今回紹介する2013年の論文は、血圧を140mmHg未満にコントロールすると結果が改善したという論文です。
◆最高血圧を140mmHg未満に管理する群とこれまでの通り180mmHg未満にする群を比較
今回の研究は、以下の通りに行われました。
過去6時間以内に脳内出血を自然
発症 し、収縮期血圧 が上昇していた2,839名の患者を、医師が選んだ薬を用いて、血圧を低くする強化治療群(1時間以内の目標収縮期レベル<140mmHg)またはガイドライン で推奨されている治療群(目標収縮期レベル<180mmHg)にランダムに割り付けた。
脳出血発症から6時間以内の人を対象として、最高血圧を140mmHg未満を目標に管理する群(強化治療群)と180mmHg未満を目標に管理する群にランダムに分け、その後90日間の死亡や重大な機能障害などの結果を比較しました。
◆強化治療群で予後の改善と安全性を確認
以下のことを報告しました。
通常の分析によれば、強化治療群は修正Rankin scoreが
有意 に低下した(重度の機能障害に関するオッズ比0.87、95%信頼区間0.77-1.00、p=0.04)。死亡率は、強化治療を受けた群で11.9%、ガイドラインで推奨された治療を受けた群で12.0%であった。
非致死性の重篤な有害事象は2群それぞれの患者のうち23.3%、23.6%で発生した。
強化治療群で重度の機能障害は少なくなりましたが、死亡率には差は見られませんでした。また、副作用にも差はありませんでした。
『脳卒中治療ガイドライン2015』では、この結果も踏まえて最高血圧140mmHg以下への降圧を推奨する旨を記載しています。
執筆者
Rapid blood-pressure lowering in patients with acute intracerebral hemorrhage.
N Engl J Med. 2013 Jun 20
[PMID: 23713578]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。