2015.09.19 | ニュース

インフルエンザは本当に近くにいるだけでうつるのか?

インフルエンザ感染した人の濃厚接触者の状態を検証

from The Journal of infectious diseases

インフルエンザは本当に近くにいるだけでうつるのか?の写真

インフルエンザの流行時期になると、学級閉鎖などがよく聞かれます。インフルエンザが人から人にうつるのは当然のように思われていますが、本当でしょうか。ウイルスを人工的に感染させることで、感染の広がりかたを確かめた研究を紹介します。

◆インフルエンザに感染させ、その後濃厚接触者の状態を観察

今回の研究は、参加者の一部の鼻にインフルエンザウイルスを含む水滴を触れさせることで、ウイルスを感染させました。

また、その結果感染した人(ドナー)に、感染していない人(レシピエント)と濃厚接触してもらいました。

それぞれの段階で、参加者がインフルエンザウイルスに感染するかを検証しました。

濃厚接触は、ドナーがウイルスに触れた2日後から2日間(計30時間)、閉ざされた部屋で一緒にテレビを見たり食事するなどして過ごすこととしました。

 

◆濃厚接触すると4人に1人がインフルエンザに新たに感染

以下の結果が得られました。

接種後、9人のドナー中4人でインフルエンザ様の症状が現れ、9人中7人はインフルエンザウイルスの感染があると診断された。 曝露前の免疫で調整すると、全体で2次感染率は25%(12人中3人)であった。

インフルエンザウイルスを鼻に触れさせた9人のうち7人が感染しました。感染した人がドナーとなり、ドナーとレシピエントの濃厚接触の結果、レシピエントのうち25%が2次感染しました。

 

インフルエンザにわざと感染させ、さらにその感染した人と濃厚接触をする人を設定することで、2次感染の状況を把握した研究でした。

例えば学校の1クラス37人の中で、この結果と同じように4人に1人が2次感染すると仮定すると、1人が感染したことで残り36人のうち9人に2次感染し、さらにその9人から更に周囲が感染する可能性を考えれば、拡大が急激に広まることが理解できます。

この研究で、実際にどの程度の接触があれば2次感染が起こるかが確かめられたことは、マスクなどの対策に意味があるかどうかを検討するときに、対策がなされなければ感染が広がると考える根拠になると言えるでしょう。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Use of a human influenza challenge model to assess person-to-person transmission: proof-of-concept study.

J Infect Dis. 2012 Jan 1

[PMID: 22131338 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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