◆骨髄線維症を治療
この研究は、骨髄線維症の患者で比較的悪い経過が予想される「高リスク」または「中間-2リスク」に分類された人を対象として、イメテルスタットによる治療を行い、治療による経過を調べました。
◆効果の可能性、副作用も
次の結果が得られました。
計33人の患者(年齢の中央値67歳)が適格基準を満たし、うち48%が以前にJAK阻害薬による治療を受けていた。完全寛解または部分寛解は7人の患者(21%)で得られ、寛解期間の中央値は、完全寛解について18か月(範囲13か月から20か月以上)、部分寛解について10か月(範囲7か月から10か月以上)だった。骨髄線維症は完全寛解が見られた4人の患者の全員で改善し、4人のうち3人には分子遺伝学的寛解が見られた。
治療関連有害事象として、グレード4の血小板減少(患者の18%)、グレード4の好中球減少(12%)、グレード3の貧血(30%)、グレード1または2の総ビリルビン値上昇(12%)、ALP上昇(21%)、AST上昇(27%)が見られた。
治療後に、一部の対象者で、検査から見られた病状の改善がありました。副作用の可能性があることとして、正常な血小板・好中球(白血病の一部)が少なくなるなどの変化が見られました。
研究班はこの結果を「イメテルスタットは骨髄線維症のある患者で活性を有するだけでなく、臨床的に有意な骨髄抑制の原因となる可能性も持つことがわかった」とまとめています。
骨髄線維症を根治する治療法は確立していません。この結果に続き、ほかの治療や偽薬と比べてイメテルスタットの効果が認められれば、新しい治療として検討されるかもしれません。
執筆者
A Pilot Study of the Telomerase Inhibitor Imetelstat for Myelofibrosis.
N Engl J Med. 2015 Sep 3
[PMID: 26332545]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。