2015.09.14 | ニュース

胸水患者に対する理学療法プログラムの効果

ランダム化比較試験による検証

from Clinical rehabilitation

胸水患者に対する理学療法プログラムの効果の写真

胸水とは、肺の周りに溜まった液体のことで、悪性腫瘍、肺炎、結核などの病気によって引き起こされます。胸水が溜まると、呼吸困難、胸の痛み、発熱などが生じます。この研究では、胸水が溜まった患者に対する理学療法の効果について検証しています。

◆104名の患者をランダムに割り付け

この研究では、胸水が溜まっていると診断された患者104名を理学療法プログラムを行う群(介入群)と通常の治療を行う群(コントロール)にランダムに振り分けました。

理学療法プログラムでは、深呼吸によるエクササイズ、胸郭の柔軟性を高めるための手技などが行われました。

効果を判断する指標としては、退院時の呼吸機能、胸部のレントゲン画像、在院日数を用いました。

 

◆理学療法プログラム群で、肺活量値、胸部の状態が改善し、在院日数が短縮

次のように、理学療法プログラム群では、コントロール群と比べて、呼吸機能、胸水の状態の改善、在院日数の短縮がみられました。

比較解析の結果、介入群の呼吸機能のパラメータに有意な改善がみられた;入院前後の肺活量(73.1 ± 12.6% から72.13 ± 13.7 %, P<0.001 )と1秒量(72.13 ± 13.7% から78.98 ± 16.9%, P<0.001) 、25%-75%の努力呼気流量(64.8 ± 35.1% から76.78 ± 35.3%, P=0.198) は、 コントロール群と比較して有意な変化を示した。退院時の胸部患側のレントゲン画像の所見は、理学療法群でより良いスコアを示した。入院期間は、コントロール群(38.6±10.7日)と比較して、介入群(26.7±8.8日)で有意に短かった(P=0.014)。

著者らは、「胸水の患者に対して、通常の治療に追加された理学療法プログラムは、呼吸機能の指標とレントゲン画像所見を改善し、在院日数を減らす。」と述べています。

 

今回の研究から、胸水患者に対する理学療法プログラムは、有効な治療手段となる可能性が示されました。より確かな治療法に向けて今後の研究が期待されます。

執筆者

高士 直己

参考文献

The effects of a physiotherapy programme on patients with a pleural effusion: a randomized controlled trial.

Clin Rehabil. 2014 Nov

[PMID: 24733648]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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