◆104名の患者をランダムに割り付け
この研究では、胸水が溜まっていると診断された患者104名を理学療法プログラムを行う群(介入群)と通常の治療を行う群(コントロール)にランダムに振り分けました。
理学療法プログラムでは、深呼吸によるエクササイズ、胸郭の柔軟性を高めるための手技などが行われました。
効果を判断する指標としては、退院時の呼吸機能、胸部のレントゲン画像、在院日数を用いました。
◆理学療法プログラム群で、肺活量値、胸部の状態が改善し、在院日数が短縮
次のように、理学療法プログラム群では、コントロール群と比べて、呼吸機能、胸水の状態の改善、在院日数の短縮がみられました。
比較解析の結果、介入群の呼吸機能のパラメータに有意な改善がみられた;入院前後の肺活量(73.1 ± 12.6% から72.13 ± 13.7 %, P<0.001 )と1秒量(72.13 ± 13.7% から78.98 ± 16.9%, P<0.001) 、25%-75%の努力呼気流量(64.8 ± 35.1% から76.78 ± 35.3%, P=0.198) は、 コントロール群と比較して有意な変化を示した。退院時の胸部患側のレントゲン画像の所見は、理学療法群でより良いスコアを示した。入院期間は、コントロール群(38.6±10.7日)と比較して、介入群(26.7±8.8日)で有意に短かった(P=0.014)。
著者らは、「胸水の患者に対して、通常の治療に追加された理学療法プログラムは、呼吸機能の指標とレントゲン画像所見を改善し、在院日数を減らす。」と述べています。
今回の研究から、胸水患者に対する理学療法プログラムは、有効な治療手段となる可能性が示されました。より確かな治療法に向けて今後の研究が期待されます。
執筆者
The effects of a physiotherapy programme on patients with a pleural effusion: a randomized controlled trial.
Clin Rehabil. 2014 Nov
[PMID: 24733648]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。