2015.09.07 | ニュース

2型糖尿病治療薬を止めた女性は骨折が減る?

アメリカでの大規模調査から

from The Journal of clinical endocrinology and metabolism

2型糖尿病治療薬を止めた女性は骨折が減る?の写真

2型糖尿病治療薬として用いられるチアゾリジン誘導体を服用すると、骨折リスクが増加する副作用があります。今回著者らはチアゾリジン誘導体服用を止めた場合の、骨折リスク変化を調べました。

◆アメリカでの大規模臨床試験ACCORDの参加者6,865人を対象に調査

2001年以来アメリカで継続している、糖尿病に関する大規模臨床試験(ACCORD)の参加者6,865人のデータを対象にしました。ACCORD参加期間内において2から4ヶ月ごとの診療からチアゾリジン誘導体服用と中断を調べました。平均年齢は62.4歳、糖尿病が発症してからの期間は11.1年で、87%の参加者がチアゾリジン誘導体を服用していました。

 

◆女性ではチアゾリジン誘導体の服用を止めると骨折率が低下する

著者らは以下の結果を得ました。

チアゾリジン誘導体服用を1-2年中断した女性の骨折率(ハザード比は0.57、95%信頼区間は0.35から0.92)、または2年を越えて中断した女性の骨折率(ハザード比は0.42、95%信頼区間は0.24から0.74)は減少した。チアゾリジン誘導体服用と中断は男性の脊椎以外の骨折に関連性はなかった。

つまり、2型糖尿病を患っている女性で、チアゾリジン誘導体を服用した女性は脊椎以外の骨折が2倍程度に多くなりましたが、チアゾリジン誘導体の服用を少なくとも1-2年止めると、骨折する率が低下しました。男性ではこの変化は見られませんでした。

著者らは、「女性がチアゾリジン誘導体の服用を中断すると、脊椎以外の骨折に対する影響が緩和される」と結論しています。

 

糖尿病の治療薬にはいくつかの種類がありますが、それぞれ長所と短所があり、人によって適したものが使い分けられます。チアゾリジン誘導体は2型糖尿病を改善すると同時に、脂肪細胞も増やし骨を作る細胞を減らします。そのため骨折率に影響を与えることが考えられます。

今回の調査から、チアゾリジン誘導体の骨への効果には男女差がある可能性が示されました。体重や生活習慣等のデータと組み合わせて検討すれば、直接の関係なのか間接的な要因があるのかわかってくるかもしれません。糖尿病の治療に安心して使えるように、今後更なる調査と原因究明が望まれます。

執筆者

高田

参考文献

Effects of TZD Use and Discontinuation on Fracture Rates in ACCORD Bone Study.

J Clin Endocrinol Metab. 2015 Aug 25

[PMID: 26305617]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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