◆重曹治療を行う群と通常ケアの群にランダムに振り分け
慢性腎臓病があり、検査で重炭酸イオンが少ない代謝性アシドーシスの様子が見られた患者134名を、重曹を飲む群と通常のケアを行う群の2群に分けました。
2年間の治療後、腎臓機能を評価できるクレアチニンクリアランスなどを用いて、効果を検証しました。
◆重曹治療を行うと腎臓機能の低下が抑えられた
以下の結果が得られました。
重曹を補充すると、クレアチニンクリアランスの低下は、対照群と比べてより遅くなった (5.93 vs 1.88 ml/min/1.73m2; P < 0.0001)。
重曹を補充した患者では、急速に腎機能が低下することが有意に少なかった(9 vs 45%;相対リスク0.15;95%信頼区間0.06-0.40;p<0.0001)。
重曹を飲んだ群では、腎臓機能の悪化を防ぎ、腎機能が急速に低下する対象数も少ない結果となりました。
この結果も踏まえて、『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013』では「重曹などで血中重炭酸濃度を適正にすると、腎機能低下、末期腎不全や死亡リスクが低減するため、代謝性アシドーシスの補正を推奨する。」と記載されています。
なお、この研究で使われている重曹はサプリメントなどに含まれているものと同じ物質ですが、処方薬として(例えば、「炭酸水素ナトリウム(散剤)」や「重曹錠」など)使われています。不適切な使い方では有害に働くことがありますので、適切な用法については、医師に相談されることをおすすめします。
執筆者
Bicarbonate supplementation slows progression of CKD and improves nutritional status.
J Am Soc Nephrol. 2009 Sep
[PMID: 19608703]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。