◆3つのランダム化比較試験、第III相臨床試験によりエンテカビルの効果を検証
肝炎が進行することで、肝機能が低下するとともに、肝臓の組織に線維化という変化が起こり、その後肝硬変に進行しやすくなることが知られています。
今回の研究は、慢性B型肝炎で、肝臓のダメージが見られるものの肝機能は比較的保たれている患者を対象に行われた、以下に示す過去の研究を分析しました。
2つの試験は、ヌクレオシド(ヌクレオチド)ナイーブの患者を対象に、ランダムに割り付けられたエンテカビル0.5mg/日またはラミブジン100mg/日の治療を最低48週間行った。
3つ目の試験は、ラミブジン難治性の患者を対象に、48週間のエンテカビル1mg/日またはラミブジン100mg/日をランダムに割り付けた。
3つの試験で得られたデータについて、肝臓の線維化に対するエンテカビルの効果を、ラミブジンという別の薬と比較しました。
◆エンテカビルはラミブジンよりも有効
調査の結果、以下のことを報告しました。
進行した肝線維化がありエンテカビル治療を受けた患者では、Ishakの線維化スコアの改善が、ヌクレオシド(ヌクレオチド)ナイーブのHBe抗原が+であった患者の57%、ヌクレオシド(ヌクレオチド)ナイーブでHBe抗原が−であった患者の59%、ラミブジン難治性のHBe抗原+であった患者の43%で観察され、進行した肝線維化がありラミブジン治療を受けた患者ではそれぞれ49%、53%、33%であった。
治療はよく忍容された。
エンテカビルは、ラミブジンと比べてより肝臓の線維化を改善できるという結果でした。
今回の研究でエンテカビルと比較されているラミブジンは、ウイルスに薬剤耐性がつきやすいとされ、『肝硬変診療ガイドライン』では第一選択薬とはなっていません。肝炎から肝硬変に重症化すると、肝不全や肝細胞がんをきたし死に至る可能性も出てきます。その予防として、エンテカビルの役割は重要です。
執筆者
Efficacy and safety of entecavir in patients with chronic hepatitis B and advanced hepatic fibrosis or cirrhosis.
Am J Gastroenterol. 2008 Nov
[PMID: 18721244]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。