男性の多量飲酒はくも膜下出血のリスクを4倍に、さらに高血圧があると13倍に
飲酒とくも膜下出血の発症リスクとの関連性について、『脳卒中治療ガイドライン2015』で記載されており、生活習慣の改善が推奨されています。今回はその根拠のひとつとなる2000年の論文を紹介します。
◆飲酒量とくも膜下出血の関連を検証
今回の研究は、12,372名の日本人を対象としておよそ9年間追跡調査し、飲酒量や血圧、喫煙、
◆男性は多量飲酒がリスク、高血圧や喫煙でさらに高く
調査の結果、以下のことが報告されました。
男性では、多量飲酒はくも膜下出血の独立
危険因子 であり、多変量調整相対リスクは4.3(95%信頼区間1.1-16.8、p=0.04)であった。女性では、多量飲酒に大きなリスクはなく、これはおそらく多量飲酒の人数が少ないためであった(n=15)。
喫煙または高血圧と多量飲酒が組み合わさった場合、男性では実質的にくも膜下出血のリスクは増大し、多変量調整相対リスクは、喫煙多量飲酒者では6.0(95%信頼区間1.8-20.1、p=0.004)、高血圧多量飲酒者では13.0(95%信頼区間3.9-43.9、p<0.001)であった。
多量飲酒(1日あたりエタノール69g以上)によってくも膜下出血のリスクが約4倍になり、多量飲酒者かつ喫煙者では6倍、多量飲酒かつ高血圧症者では13倍と、さらに高まるという結果でした。
筆者らは、「飲酒量を減らし、禁煙し、血圧管理をすることは、日本人男性においてくも膜下出血を予防するために重要である。」と述べています。
適切な飲酒量を超えると、くも膜下出血を発症する確率が高くなります。お酒はほどほど、が良いかもしれません。ちなみに、エタノールが69g以上というと、およそビール缶(350g)5本、日本酒3合半、ワイン1本弱といったところです。
執筆者
Prospective study on alcohol intake and risk of subarachnoid hemorrhage among Japanese men and women.
Alcohol Clin Exp Res. 2000 Mar
[PMID: 10776682]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。