くも膜下出血後のスパズムに対するファスジルの効果
くも膜下出血後に血管が収縮する「スパズム」は、脳梗塞を起こすことがあるため治療が必要です。『脳卒中治療ガイドライン2015』では、スパズム治療に全身的薬物療法が推奨されており、その薬のひとつファスジルの有効性に関する1992年の論文を紹介します。
◆ファスジル治療群とプラセボ群にランダムに分類
今回の研究は以下の通りに行われました。
Hunt and Hess gradeがIからIVのくも膜下出血
発症 後3日以内に手術を行った計276名の患者が研究に参加した。267名の患者はAT877を30mgまたはプラセボ(生理食塩水)を手術後14日間、1日3回、
静脈注射 で30分かけて行われた。
くも膜下出血後に手術治療を受けたあとの患者を対象に、ファスジル治療を行い、その効果を検証しました。
◆ファスジルは脳のスパズムを改善する
以下の結果を得ました。
AT877は、血管
造影 で示された血管攣縮を38%(プラセボ群の61%からAT877群の38%へ、p=0.0023)、血管攣縮と関連するCT での低吸収域は58%(38%から16%へ、p=0.0013)、そして症候性 血管攣縮は30%(50%から35%へ、p=0.0247)減少したことが認められた。AT877群で深刻な有害事象は報告されなかった。
ファスジル治療を行うと、スパズムやそれによる画像上の結果が改善しました。また、発症後1ヶ月時点での
今回の研究も踏まえて、『脳卒中治療
執筆者
Effect of AT877 on cerebral vasospasm after aneurysmal subarachnoid hemorrhage. Results of a prospective placebo-controlled double-blind trial.
J Neurosurg. 1992 Apr
[PMID: 1545249]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。