2015.08.20 | ニュース

血圧を下げるACE阻害薬の効果、急性心筋梗塞後の使用で死亡率が減少

メタ分析により検証

from Circulation

血圧を下げるACE阻害薬の効果、急性心筋梗塞後の使用で死亡率が減少 の写真

急性心筋梗塞が発症したあと、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)で血圧を下げる治療は、昔から死亡率の減少に有効であると考えられ、ガイドラインにも記載されています。今回はその根拠のひとつとなる1998年の論文を紹介します。

◆ACE阻害薬の効果を検証

今回の研究は、血圧を下げる薬であるACE阻害薬の効果を検証した過去の研究を集めました。集めた研究をまとめ、ACE阻害薬による心筋梗塞患者の死亡率に対する有効性を検証しました。集めた研究は、心筋梗塞発症後0〜36時間の間に治療開始し、その後ACE阻害薬を4〜6週間継続して治療効果を検証したものとしました。

 

◆ACE阻害薬の早期投与で30日死亡率が減少

調査の結果、以下のことを報告しました。

30日死亡率は、ACE阻害薬に割り付けられた群で7.1%、対照群で7.6%であり、全体で7%(標準偏差2%)の減少が認められた(95%信頼区間2-11%、2p<0.004)。

ACE阻害薬治療は、[...]持続する低血圧症(17.6% vs 9.3%、2p=0.01)や腎障害(1.3% vs 0.6%、2p<0.01)の増加と関連していた。

急性心筋梗塞発症後早期のACE阻害薬の使用により、死亡率が減少するという結果でした。ただし、低血圧症や腎障害が増加するという面も見られました。

 

心筋梗塞の薬物治療に関する論文はさまざまなものが出ています。現状の「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」では、ACE阻害薬の使用が勧められています。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Indications for ACE inhibitors in the early treatment of acute myocardial infarction: systematic overview of individual data from 100,000 patients in randomized trials. ACE Inhibitor Myocardial Infarction Collaborative Group.

Circulation. 1998 Jun 9

[PMID: 9631869]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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